[図]ロシア戦で見せたMB1(スターティング)

 コロンブスの卵とでもいうべきか。
 「初めて聞いたときはビックリ。でも、相手から点数を取ることをシンプルに考えれば『こういうフォーメーションになるのか』と感じました」

 木村沙織は言葉を飾らない。簡潔にして明快だ。
 「いくらトスを速くしても、攻撃のパターンをこれ以上増やすのは難しい。アメリカやブラジルも速いバレーをしているし、同じことをしていてもいつかは相手に読まれてしまいます。日本が世界に勝つためには、いろんな工夫をしなければいけません。選手としてもチームとしても初めての挑戦だけど、たくさんの可能性があるフォーメーションです」

[図]ロシア戦で見せたMB1(迫田が前衛)

■ベールを脱いだ新フォーメーション「MB1」とは

 速攻やブロックを主な仕事にするミドルブロッカー(MB)を従来の2人から1人に減らし、空いたポジションに得点能力の高いウイングスパイカー(WS)を配した新フォーメーション。いわゆる「MB1」が、11月12日に開幕したワールドグランドチャンピオンズカップでベールを脱いだ。

 効果はすぐに表れた。ロシア戦の第1セット。日本はミドルブロッカーの対角に入ったウイングスパイカーの迫田さおりが、いきなりバックアタックで1点目を奪った。後衛のセンターからドスンと打ち込んだ一撃は、ロシアのブロックが完成する前のコートに突き刺さった。相手ブロックの高さを無力化し、動揺を引き出すには十分だった。ロシアの意識を中央に集めた日本は、セッターの中道瞳が空いたサイドにトスを散らし、新鍋理沙、石井優希が次々と得点を重ねた。

■完勝で白星スタートを飾る

 心配されたブロックも、大きく崩れることはなかった。圧巻だったのは、第3セットの立ち上がりである。前衛には、木村、迫田、石井のウイングスパイカー3人が並んだ。高さが足りない分は、横へのスムーズな動きで補った。たとえ相手の攻撃を1回で止められなくても、ワンタッチを奪ってスパイクの威力を吸収し、後ろで守るレシーバーにボールをつないだ。

 サーブも効果的だった。相手の得点源を徹底して狙い、機動力を封じ込めた。コンビネーションを断たれたロシアは、単調な攻撃に終始。終盤の粘りも見せた日本が、完勝劇で白星スタートを切った。

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