[画像]昨年3月のガス生産実験で見られたメタンハイドレートの炎(JOGMECの公開映像から)

 「メタンハイドレート」をご存じでしょうか。天然ガスに似たエネルギー資源で、ちょうど1年前、愛知県の渥美半島沖の海洋で世界初のガス生産実験に成功。「夢の国産エネルギー」の確保に一歩近づいたとして注目を集めました。その後、研究開発はどうなっているのでしょうか。

[画像]生産実験の行われた海域(JOGMECの資料から)

■1年前に世界初の快挙、ところが…

 メタンハイドレートは、かご状になった水分子(ハイドレート)に、天然ガスの主成分でもあるメタン分子が閉じ込められた物質。低温、高圧の条件下で安定し、熱を加えたり、圧力を下げたりして水分子を分解すると、中のメタンが放出され、燃やすことができます。そのため「燃える氷」とも呼ばれます。

 「氷」のようですから、自然界では主に永久凍土の地底と、水深500メートル以下の海底に存在。中でも日本近海の海底に約1兆立方メートルが眠っていると試算されています。これは日本が輸入する液化天然ガス(LNG)の10年分以上の資源量。このため、輸入エネルギーに代わる次世代の国産エネルギーとして、活用が期待されているのです。

 これを安定的に取り出す生産技術は、まだ世界でも確立されていません。日本はカナダなどと国際的に協力して、10年以上前から技術開発に取り組んできました。その一環で昨年3月12日、渥美半島から志摩半島にかけての沖合で、本格的なガス生産実験を開始したのです。

■実験はスケジュール半ばで終了

 経産省所管の独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を中心としたプロジェクトチームは、地球深部掘削船「ちきゅう」から、水深約1000メートルの海底にパイプを下ろして、さらに約300メートル下まで「井戸」を掘りました。水を汲み上げて周囲の圧力を下げ、メタンハイドレートを分解しながらメタンを抽出。実験は初日から見事に成功し、「ちきゅう」の上で赤々と燃え上がる炎の映像は、世界中に配信されました。

 ところが、当初2週間を予定していた実験は、6日目に中断。井戸の中に想定以上の砂が入り込んだことや、気象条件の悪化が原因で、そのまま終了せざるを得ませんでした。

 6日間で得られたガスは約12万立方メートル。これまでの試験に比べれば10倍近くの生産量で、一定の成果は確認されました。しかし、作業が予定の半分も続けられなかったことや、商業化するにはまだコストがかかり過ぎるなど、課題も浮き彫りになりました。

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