高校中退者を中心に編成する野球のクラブチーム

[写真]ランニングする橋本選手(手前左)と中嶋選手(同右)=愛知県知多市のグラウンドで

 若者たちが野球を通じて挫折からの再起を目指す場所が、愛知県常滑市にある。高校中退者を中心に編成する社会人野球のクラブチーム・NPOルーキーズ。高校中退の理由はそれぞれで1人親や生活困窮など家庭環境もさまざま。今回THE PAGE愛知の取材に通信制高校生の2選手が、中退のいきさつや家庭環境について赤裸々に語った。「同じような境遇の人が自分たちを知ってくれたら、何かのヒントになるのでは」と話す2人の生い立ちから、人生逆転のヒントを探る。

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プロ、社会人で野球続けたい

[写真]プロ入りや社会人野球入りを目指して練習に取り組む橋本選手(愛知県知多市のグラウンドで)

 同チームは、社会人野球の日本野球連盟に所属。都市対抗野球大会の予選突破などを目標に、寮生活をしながら知多市のグラウンドなどで日々練習に励む。このうち橋本健選手(17)は、秋田県の高校を自主退学してルーキーズ入り。「プロ野球か、社会人野球で野球を続けたい」と夢見る。

 5歳から野球に親しみ、地元スポーツ少年団の野球チームで内野手として活躍。投手としても頭角を現した。中学校の野球部監督の勧めもあり、進学校として知られる地元の高校にスポーツ推薦で入学。しかし、その直後から不登校になった。「朝、教室に入るとクラスメートの半分が自習していた。その雰囲気になじめなかった」と複雑な表情を浮かべる。野球部にも同学年での知り合いはおらず孤立。1年生の6月に自主退学し、フリーターになった。

両親の離婚、野球道具買えず悔しい思いも

 家庭は中学2年の頃に両親が離婚。母親と姉とともに、父親の持ち家から出て、アパート暮らしが始まった。母親は従業員寮の寮母や、保育園の調理師として働いた。当時の手取りは月15万。食料は母親の仕事柄、なんとか確保。しかし、金銭的余裕はなかった。「野球の道具が欲しいと思ったときに、買えないことが厳しかった」と、当時の生活を振り返る。

 ルーキーズを知ったきっかけはインターネットだった。「野球と勉強をしたいと思って、検索していたらたどり着いた。秋田から愛知に引っ越すことには、抵抗はなかった」。退学から3カ月後、ルーキーズ入りした。

 現在は野球に取り組みつつ、勉強をして高校卒業資格の取得を目指す。直近の希望は、野球で結果を出して、特待生として大学入りすること。「母も姉も働いているので、お金の事は前よりは楽になった。母子家庭という環境は、自分ではどうしようもないが、自分の生き方は自分で考えてがんばることができる。自分で稼いで親孝行したい」と前を向く。