[写真]TRAINSPOTTINGが行われた樽見鉄道

 今からさかのぼること約3か月前、樽見鉄道の車両内がライブを楽しむ場所へと変貌した。「鉄道(TRAIN)の楽しみを見つける(SPOT)」をテーマに掲げ、タイトルはTRAINSPOTTINGと名付けられた。樽見鉄道大垣駅を出発し、樽見駅から再び大垣駅へと折り返す約2時間半のイベントだ。普段走っている車両の中で聞こえてくるのは、電車がガタゴトと揺れる音、知り合い同士の会話、到着駅を告げる駅員さんの声。そんな穏やかな車両が、音楽と演出に満ちた空間に変貌した非日常空間を体験できたのは限定35人。チケットは1週間足らずで売り切れた。今回はそんな鉄道イベントを大成功に収めた、イベント立案者の石川琢也さんに話を聞いた。

イベント誕生のキッカケは大学院

[写真] TRAINSPOTTINGが行われた樽見鉄道

 石川さんは、岐阜県大垣市にある情報科学芸術大学院大学(IAMAS)で研究補助員をしながら、フリーのUXデザイナーとしても活動。聞けば、石川さんは昨年11月に行われたイベントより前に、電車で音楽を楽しむイベントをすでに行っていたそうだ。

 同大学に在学中の2013年に「メディア・地域・鉄道プロジェクト」をスタート。これは岐阜県の樽見鉄道、長良川鉄道などのローカル鉄道を一つの空間メディアとしてとらえる研究であり、その一環として、車両内にスピーカー、プロジェクター、DJブースを置き、樽見鉄道、長良川鉄道をクラブ空間へと変貌させてきた。

 昨年11月のイベントはクラブではなく、バンドセットを車両内に設ける初の取り組みだった。走る電車が暗くなり、そこに音楽が流れる。乗客の誰もがある程度の予想はできただろうが、実際に体験したものは全く別物だったという。自然に笑顔があふれ、中には感極まって涙を流す人もいたほどだ。

 そんな幸せな空間の音楽を作り上げたのは、東京から参戦したNETWORKSだ。「東京にいた時、スタッフとして一緒に活動していたNETWORKSというバンドがいて、最初から絶対に合うだろうと思っていた。いつか一緒に何かやりたいと思っていたけど、ようやく実現できた」と、石川さんは嬉しそうに語った。