「西尾市方式PFI」の凍結と見直しを訴える中村健市長

 最長30年間にわたる公共施設の建設や維持管理を、民間の1社に任せる契約をした愛知県西尾市。少子高齢化への対応という面がありましたが、市民の間に渦巻いた不安や反発は計画の見直しを訴える若い新市長を誕生させました。当初の計画は何が問題だったのか、それに代わる新たな施策やビジョンは ── 。

 中村健市長(38)へのインタビューのつづきです。


「PFI」は財政状況変化に対応できない―中村健・愛知県西尾市長に聞く(上)

今後5年間で20億円以上の歳入減見込み

既に工事が始まっている吉良地区の新支所棟の新設現場。奥は「アリーナ棟」に建て替え予定の旧吉良支所と吉良町公民館

── 財政的にはどんな問題があるのでしょうか。

市長になって全体の予算や配分を見ると、リアルに厳しいやりくりを迫られている現状が分かりました。このPFIの計画をつくってきたときと今とでさえ、財政状況は変わっています。例えば市民病院でも、昨年度はこれまでの市の持ち出しが一気に10億円増えていました。

西尾市は2011年の合併特例による普通地方交付税が今年度から縮減され、今後5年間で20億円以上の歳入減が見込まれています。そうした中で、PFIは長期のローンを組んで負担を平準化できるようなよさもありますが、逆に10年や最長30年というローンを組んでしまうと、もし市の財政状況が大きく変わったときに手が付けられなくなってしまう恐れがあります。

厳しい財政にもかかわらず、全体の予算の中で、あらかじめPFIはこれだけですよと何億円かがとられてしまう。そのために市が独自にやっている医療や福祉などのサービスを切り下げなければいけないという状況に、多分なっていく。そちらを切り下げて、建設事業は聖域だからいじれませんというのはおかしい。

今の段階で必要性や重要性を見直して、ここまで公共で造るものではないということであれば、もっとPFIという足かせを外して身軽にしていくべきではないかと思っています。

旧吉良町の防災倉庫を建て替える市民交流センター支所棟のイメージ図(西尾市の広報から)

 ※今回のPFI事業では、合併前の旧町役場だった支所の建物などを中心に31施設の新設や改修、解体が計画されています。既に旧吉良(きら)町の防災倉庫跡地では、新たな支所機能にフィットネスクラブを組み入れた「きら市民交流センター(仮称)」の建て替え工事が着工。さらに旧一色(いっしき)支所は10階建ての市営住宅にするため閉鎖され、今年7月から約1km離れた公民館に機能を移転、公民館と周辺の生涯学習施設や健康センターを一括して改修するための工事も始まっています。

 中村市長は事業を担う特別目的会社(SPC)に対して工事の中断を求めていますが、SPCは現段階で応じていません。※

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