名古屋市が制作した保険加入義務化コマーシャル映像の1シーン(名古屋市提供)

 名古屋市内で自転車に乗る人に対し、10月1日から、事故に備えた損害賠償保険(自転車保険)への加入が市条例で義務づけられた。自転車側が加害者となった際、高額の損害賠償を求められるケースが全国的に相次いでいることを受け、賠償責任を負った加害者の経済的負担を軽減し、被害者に十分な賠償金が渡るようにすることが狙い。

 全国的には自転車保険加入を条例で努力義務とする自治体も出てきているが、義務化している自治体は兵庫県、大阪府、滋賀県、同じ10月1日に施行した鹿児島県と、まだまだ少数。愛知県内で初の義務化条例施行で名古屋市は「加入している保険の特約などでカバーできることがある」と、市民がとまどうことがないよう加入中の損害保険の確認などを勧めている。

名古屋市の自転車事故率は全国平均より高い 市外からの乗り入れも加入が必要

自転車利用者に一時停止を周知するステッカー。過去5年間の愛知県内で発生した10月の自転車死亡事故でも、一時停止違反が多いというデータがある(名古屋市内で)

 義務化の対象は、同市内で自転車に乗る人すべて。未成年者はその保護者が保険に加入しなければならない。市外在住者でも、名古屋市内に自転車を乗り入れる場合は加入が必要だ。

 愛知県内では、自転車事故の高額賠償事例がたびたび起きている。2012年には、男子生徒が自転車で歩道を走行中、歩いていた成人女性と衝突し、女性が死亡。傘さし運転による前方不注意が原因で、生徒側に2080万円の賠償が求められた。13年には、自転車に乗っていた男子児童が一旦停止を無視したことで、成人女性の自転車と衝突し、女性が負傷。1870万円の賠償を伴う事故もあった。

 全国では2013年7月神戸地裁の判決で、自転車に乗っていた男子児童(12)が成人女性と衝突し、女性が頭がい骨骨折の重傷を負った事故で、児童の親に対し、9521万円の賠償が命じられたケースもある。

 名古屋市によると、自転車が関連する交通事故の発生件数は、2016年に3111件でそのうち5人が死亡、3077人が負傷した。件数は年々減少しているというものの、自転車事故の割合は18・9%で、全国平均14・5%より高い。

 県警は2012年以降5年間の自転車死亡事故の内容について分析。そのデータによると、自転車で亡くなる事故発生件数が最多だったのは10月で、自転車の一時停止違反や信号無視で亡くなっている状況が多いと発表している。

 こうした状況を踏まえて市は、「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」を制定、保険加入に関する規定を盛り込んだ。施行前の9月には、保険加入義務化を知らせるコマーシャル映像を作り、在名民放テレビ局で放送。以後ポスターなどで知らせてきた。

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