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 自身の体は女性だが心の中では女性であることに違和感があるという、心と体の性が一致しない性同一性障害の人や、性的マイノリティであるLGBTを対象にした就労支援施設「レインボーワークス」が今春、名古屋市守山区に開所した。こうした人たちの中には家族など周囲に理解されないことで、引きこもりやうつ病になるケースもあり、運営団体は「職の支援により、当事者が生活リズムを取り戻し、自立・自活する場にしたい」と取り組みの意義を語る。

ゴルフ練習場で職業訓練

ゴルフ練習場でボールを拾う作業に臨む通所者の加藤さん(名古屋市守山区で)

 「レインボーワークス」の施設がある鉄骨2階建ての建物。1階は「ひょうたん山えきまえゴルフ」という一般客向けのゴルフ室内練習場になっている。施設の通所者は、職業訓練として4ブースある練習場でボール拾いや接客などに取り組む。

 企業への就職が困難な人に、非雇用で軽作業などの仕事を提供する就労支援事業所が運営していることから、利用料はほかの同じような室内練習場の価格よりも抑えた50分500円からと低めに設定。一方で利用客にはスタッフを務める通所者と職業訓練への理解と協力などをお願いしている。特に宣伝はしていないが、クチコミで存在が広まり、施設の趣旨に賛同する一般会員は5月末時点で30人ほどにまで増えた。

 建物の2階は内職スペースで、接客が困難な状態の通所者が、業者から請け負った軽作業を担当している。行っているのは主におもちゃのカプセルの形を整えたり、商品を詰める作業など。心身の調子に合わせて、ゴルフ練習場と内職スペースのどちらでも働くことができる。

グループホームだけでは「社会復帰できない」

LGBT向け就労支援施設として開所したレインボーワークス。1階はゴルフ練習場。2階は内職スペースを設けている(名古屋市守山区で)

 施設を運営する一般社団法人・虹望会は、全国に先駆けて2015年から、LGBT向けのグループホームを運営してきた。ほとんどの職員もLGBTの人たちで、LGBTに関する“駆け込み寺”になっている面もあり、全国から入居の希望が寄せられている。定員30人の枠は一杯だ。

 しかし、職業指導員の金丸ユウジさん(48)はグループホームの入居者の様子を見ていると、引きこもったままで、昼夜逆転の生活を過ごしていることに気づいた。「住むところを提供しても、そこにずっといたままでは、社会復帰はできない」と話す。

 そこで、日中働くことができて、人と接することもできる場所を作ろうと決心。金丸さんや他のスタッフにゴルフ経験者がいたことから、ゴルフ練習場を設けることにした。