今年4月の主要農作物種子法(種子法)廃止の影響を考える学習会「種子法廃止で食・農はどうなる?」が6月28日、名古屋市中区のイーブルなごやで開かれました。

「遺伝子組換え食品を考える中部の会」と「あいち有機農業推進ネットワーク」が共催し、東京から「日本の種子(たね)を守る会」事務局アドバイザーの印鑰(いんやく)智哉さんを招きました。昼と夜の2部制でしたが、昼の部から50人以上の参加者が詰めかけ、会場は満席に。主催者は「企画した当初はこんなに人が集まるとは思わず、小さな部屋にしてしまった。農業関係者だけでなく一般の方の関心も高いことがわかった」と驚いていました。

【連載】タネを守る ── 「種子法」廃止で何が変わるのか

名古屋市で開かれた種子法廃止の影響を考える学習会

種子法は米、麦、大豆などの優良なタネの生産、管理を都道府県に義務付けていた法律。戦後の食糧難を背景に、主要農作物の安定供給を図るため1952(昭和27)年に制定されましたが、一昨年秋から政府の規制改革推進会議で廃止が議論の俎上に。年明けの国会で衆参合計10時間余りの審議を経て、2017年4月に廃止法案が可決、成立しました。

しかし、その突然の廃止決定に農業の専門家や市民団体などから反発の声が上がり、各地で抗議活動やシンポジウムなどが行われました。

環境や国際開発のNGOなどに関わってきた印鑰さんは、元農林水産大臣の山田正彦氏らが呼びかけ人となって結成された「日本の種子(たね)を守る会」の事務局アドバイザーとなり、各地で講演や勉強会に招かれているのです。

将来的な地域の衰退に危機感

印鑰さんは国が種子法廃止の理由として挙げている「種子法が種子市場に対する民間企業の投資意欲を削いできた」という主張について疑問を呈しました。

「化学メーカーは種子法廃止前から自社開発の種子の増産を計画したり、商社が米事業に参入したりする動きがあった。意欲がなかったわけではなく、そうした民間企業を国が後押しするためだった」と指摘。

一方で、「2016年の実績でも、日本で流通する米の品種のうち民間開発の品種はわずか0.3%。逆にまだ99.7%は公共の品種だ。種子法廃止で急にこれらがなくなるわけではないが、将来的に何もしなければ、地域に合わせて開発された公共品種が廃れ、地域が衰退してしまう」と訴えました。

具体的に今後、危惧される点として挙げたのは「品種の多様性がなくなる」「種子の値段が高騰する」「民間企業に公共の知見や人材、施設が払い下げられ、外国資本の支配下になる危険性」。

また、世界では大規模農業が環境破壊や人権侵害などを生み出すという反省から、小規模家族農業を健全に育てていく流れになっているとも指摘。国連は2019年から「家族農業の10年」を国際的に呼び掛けていきます。これに対して「日本政府はまだ大規模農業にこだわっている。時代遅れの動きだ」と印鑰さん。

種子の多様性確保は、気候変動に対してリスクを分散することになり、「生命の保証になる」とも強調しました。