戦後一度も経験したことのない憲法改正をめぐって、議論が続いています。海外の事例をみると、改憲そのものは世界的に見て珍しいことではありません。

 アメリカでは、1787年に合衆国憲法が制定されました。第二次世界大戦後となる1945年以降、6回修正されています(2010年7月現在。以下同)。

 修正には「連邦議会の両院(上院・下院)の3分の2の賛成」と「全州の4分の3の州議会の賛成」が必要ですが、いずれもこの要件にのっとった修正でした。修正により、大統領の三選禁止、選挙権年齢を満18歳に引き下げることなどが決められました。なお、「改正」でなく「修正」なのは、合衆国憲法が既存の条文をいじらず、新たな条文を追加していく形で変化していくからです。

 フランスでは、戦後、第四共和国憲法が1946年に、第五共和国憲法が1958年に制定され、後者が現行のフランス憲法となっています。第四共和国憲法が2度改正された後、第五共和国憲法が制定され、今までに24回改正されていますから、合計27回憲法の改正を経験していることになります。ちなみに、もっとも最近となる2008年7月の改正では、50以上の条項が見直されました。

 ドイツでは、東西分裂時代の1949年、暫定的な基本法として西ドイツで「ドイツ連邦共和国基本法」が制定されましたが、1990年の統一後もこの基本法がドイツの事実上の憲法として適用されています。修正回数は、西ドイツ時代に35回、統一から現代に至るまでで13回。合わせて58回となりますから、平均するとほぼ毎年1度は憲法を改正していることになります。

 中国や韓国も憲法改正を経験しています。中国は1949年に中華人民共和国が成立して以来、4つの憲法が制定されており、現行憲法となる1982年制定の憲法下では、いままでに4回改正が行われました。

 韓国では、南北の分断を経て1948年に第一共和国憲法が制定されて以来、6つの憲法が制定されています。現行憲法となる1987年成立の第六共和国憲法は、いまだ改正されていませんが、それまでの憲法改正と新憲法成立から数えると戦後、9度の改正を経て現在の形に至ったと見ることができます。

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