いま、データを活用した新たな報道手法「データジャーナリズム」に注目が集まっています。データジャーナリズムは「データからニュースとなるファクトを発見し、伝える」手段として、テクノロジーの進化や、インターネット上に公開されているデータの増加とともに、ここ1~2年という短期間のうちに世界各国の編集現場で急速に浸透しました。いまでは多くの報道機関にとってデータジャーナリズムは「取り組まざるを得ない報道手法」となりつつあります。

 日本ではまだあまり認知されていませんが、世界を見渡すと実践事例は着実に増えてきています。昨年(2012年)のロンドンオリンピック報道やアメリカ大統領選挙報道では、欧米の報道機関を中心にデータジャーナリズムの手法を取りれた取り組みが数多く見られました。データジャーナリズムの歴史はまだ浅いにも関わらず、データジャーナリズムの手法を取り入れた取材がスクープを見つけ出し、世論や行政を動かすこともしばしばあります。

■オープンデータに反映される「社会のいま」

 データジャーナリズムがここまで注目される背景には、一定のルールのもとであれば誰もが自由に利用できるインターネット上に公開されているデータ、いわゆる「オープンデータ」の広がりがあります。オープンデータは政府・自治体、国際機関、公共機関、民間企業などが出し手となり、その種類も多岐にわたります。なかでも、政府・自治体が提供するオープンデータの種類は非常に豊富で、「人口に関する統計データ」、「財政に関する統計データ」、「貿易に関する統計データ」、「犯罪に関する統計データ」など、社会の実情を知るうえで参考となるオープンデータが数多く提供されています。また、検索サービスや、ブログ・SNSに代表されるソーシャルメディアなど、私たちが普段利用しているインターネットサービスの利用状況を、オープンデータとして提供する民間企業もでてきました。

 このようなオープンデータには、人、企業、国などの動きや実情がファクトとして反映されるため、社会の「いま」を知る重要な手掛かりとなります。そのため、複数のオープンデータを組み合わせて分析することで社会の問題を発見したり、オープンデータを利用して権力を監視するなど、報道分野ではいち早く利用されるようになりました。


■浸透するデータジャーナリズム

 データジャーナリズムを実践するには、データ収集、データ分析、データ可視化に関する多様なスキルが要求されますが、その一方で、実践に必要なツールには無料で使えるものも多く、大きな資本がなくても実践できるのが特徴です。当初は資本力のある大手報道機関が先行していましたが、いまや地域メディアや新興メディア、新興国・途上国の報道機関においても、有効な報道手法となってきました。
また、データジャーナリズムはニュースを発見する手段としてだけでなく、発見したニュースを「わかりやすく伝える手段」としても利用できることから、社会の問題を解決しようと活動するNPOやNGOにおいても、自分たちの活動意義や活動の成果を世に伝える手段として、徐々に浸透してきています。