ファミリーコンピュータが誕生して、今年7月15日で30周年を迎えました。ファミコンが誕生した1983年は、東京ディズニーランドが開園し、NHK朝ドラで「おしん」が放送されました。高校野球では、大阪・PL学園が桑田、清原の1年生コンビが大活躍し、全国制覇を果たしました。アメリカではレーガン大統領が誕生した年でもありました。

 そんな1983年に誕生したファミコンは、ゲームの歴史を一変させました。それまでのコンピュータゲームといえば、手のひらサイズの電子ゲームか『スペースインベーダー』をはじめとするアーケードゲームで、ゲームセンターや喫茶店で興じるものでした。ファミコンの出現で、自宅に居ながら、ゲームセンター並みのものが楽しめるようになりました。「当時のゲームセンターは、怖い雰囲気があり、入りづらかったですが、魅力的なゲームがたくさんありました。それが家で遊べるようになったことは、とても大きかったと思います」と、「週刊ファミ通」編集長の林克彦さんは振り返ります。

 また、ファミコンでしか遊べないゲームが次々に発売されたことも、多くの支持を集めた要因の1つでした。「たとえば『スーパーマリオブラザーズ』、『ドラゴンクエスト』、『ファイナルファンタジー』といった名作が、多数発売されました。そういった名作だけではなく、“なんだこりゃ?” 的なゲームも多かったですが、それも含めて学校帰りに友達の家で、みんなでワイワイ楽しみました。口コミでも急速に広がりましたし、やはり、子どもたちの必須アイテムになったことが、大ヒットの要因だったと思います」(林編集長)。

 ハードと同日に発売されたソフトは、「ポパイ」、「ドンキーコング」、「ドンキーコングJR.」の3タイトル。その年は合計9タイトル発売されました。注目すべきは、「ポパイの英語遊び」、「ドンキーコングJR.の算数遊び」の2タイトルです。こういった学習系ソフトのラインナップは、子どもたちがハードを購入する際、親を説得しやすくする配慮がうかがえます。「任天堂はそういう発想のある会社なので、教育とゲームを紐づけることは、当時から意識したのかもしれない」(林編集長)と分析。幅広い層に現在、普及したニンテンドーDSが、「脳を鍛える大人のDSトレーニング(脳トレ)」や、漢字検定などのソフトを揃えているところと共通していていると言えます。