年齢によって異なる風疹の予防接種状況

      
 風疹の流行が続いています。1週当たりの患者報告数は5月の800人超をピークに毎週少しずつ減少。ただし地域差があり、これまで患者の多かった関西と関東で減っている一方、愛知、福岡、鹿児島など15県では逆に増えています。今年に入って7月7日までの累積患者数は1万2,469人、昨年同期と比べると約20倍です。いつ流行はおさまるのでしょうか。

患者の8割が男性

 まず今回の流行の全体像を振り返ってみましょう。今年1月から7月7日までのデータを国立感染症研究所が分析したところ、患者の77%が男性で、そのうち約8割が20~40歳代でした。女性では20歳代が41%を占めています。従来風疹は乳幼児を中心に大きな流行がみられましたが、今回は成人に多いことが特徴です。

 風疹はウィルス感染でかかる病気です。発症すると発熱、発疹、リンパ節の腫れがみられますが、特別な治療をしなくても大半が数日で熱も下がり後遺症を残さず治ります。ただし、妊娠初期21週までの女性が感染すると、胎児に難聴、心疾患、白内障などの障害が現れることがあります。これを先天性風疹症候群(CRS)といい、昨年秋から始まった今回の流行で、今年7月14日までに13例が確認されています。

 予防にはワクチンの接種が有効です。日本ではCRSの発生予防を目的に女子中学生だけに集団接種が行われていた時期があったり、その後、男女中学生に公費で個別接種(任意)の機会を設けたりと、何度か行政の方針が変更されました。今回の流行で成人男性と20歳代女性の患者が目立つのは、ちょうどその世代が方針変更の影響を受けているためです。現在は小学校入学前に2回の定期接種が定められており、今回の流行でも乳幼児の患者数は低く抑えられています。

ピーク後3カ月で平年並みに?

 厚生労働省の結核感染症課によれば、過去の流行のピークは平均22週目で、以後ゆるやかに収束しているため、「今回も5月のピークがだいたい22週目にあたり、その後減少に転じているので同じような経過をたどるのではないか」とのこと。ピークから約3カ月後には平年並みに落ち着くのが過去の平均的な推移ですが、これは小児科に限定した定点観測による統計なので、今回の流行にそのまま当てはまるかどうかはわかりません。

 今回の流行前、2011年にベトナムや中国で大流行した際、その地域に旅行した男性が帰国後発症し、続いて職場での集団感染が起こったことが確認されています。その後、だんだんに報告数が増加し全国に拡大しましたが、帰国男性との因果関係は明らかになっていません。

 夏休みに海外旅行に行く人は、事前に風疹の予防接種を受けたほうがいいかもしれません。多くの自治体が、成人対象の予防接種を公費で負担しています。6月はワクチンが一部の地域で一時的に不足していましたが、現在は全国に必要数量が確保されています。

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