[写真]手のひらに乗るサイズのパソコン「ラズベリーパイ」

 手のひらに乗るイギリス生まれの小さなコンピューター「ラズベリーパイ(Raspberry Pi)」。発売直後の1年半ほど前は入手困難な製品でしたが、在庫が増えて購入しやすくなりました。電子工作で作った回路と接続して楽しむなど、愛好者の間で静かなブームとなっています。

 ラズベリーパイは、IT技術者やプログラマーの教育目的に開発されました。大きさはほぼ名刺サイズ。ケースはなく、基板がむき出しになっているので、何か特殊な機械のように見えますが、れっきとしたパソコンです。海外での価格は35ドル前後(日本では4000円前後)からとお手ごろです。

 OSはWindowsではなく、Linuxという技術者がよく使うOSを使います。ハードディスクやSSDの代わりにSDメモリーカードを利用し、ディスプレイへの出力はHDMIなどが使えます。USBポートが付いており、キーボードやマウスも接続できます。加えてLANにも接続できるので、動作は遅いですが、ウェブブラウジングもできます。

 これだけでは性能の劣ったパソコンのようですが、ラズベリーパイが面白いのは、自分が作った電子回路を自分が組んだプログラムで制御できるところでしょう。

 東京・秋葉原の電子パーツ店「千石電商」では、在庫が安定してきた年初から急激に注文が増え、月に4~500台が売れています。買い求めるのは大学生や初老の男性、親子連れらとさまざま。ラズベリーパイと一緒にハンダ付けが不要な基板(ブレッドボード)を買っていく人も少なくありません。

 同店の西城丈晴さんは「安価で拡張性があり、なんでもできそうなのがこの商品の魅力。何に使うのかはアイデア次第」と話します。

 発光ダイオード(LED)と抵抗で回路を作り、1秒おきに点滅させるとか、カメラモジュールをつないで一定間隔で撮影するとか、温度センサーをつないで室温をTwitterでつぶやくとか、そんな遊び方ができます。さらに、レゴブロックでケースを作り、ケースデザインを楽しむ人たちもいます。

 「それって何が楽しいの? 何の役に立つの?」。そう言う人もいるでしょう。しかし、電子工作をしたり、プログラミングをしたりした経験がある人には分かると思いますが、自分が作ったものが実際に動くのを目にするのは、どんなに簡単なものであっても、感動的なものです。

 パソコンのプログラミングはハードルが下がり、大変身近な存在になりました。しかし、自分で電子回路を作り、それをパソコンから操れる人はそう多くありません。ラズベリーパイは目論見どおり教育目的の製品です。ラズベリーパイをいじりながら「作ることが純粋に楽しい」と思える若い人たちが、未来の技術を作って行くのかもしれませんね。