「ハッキング」や「クラッキング」と呼ばれるサイバー攻撃は、パソコンやスマートフォンを対象にした犯罪だと思われがちです。しかし最近、ごく身近に存在する自動車やトイレがクラッキングの対象になり得ることが判明しました。スマート家電が、今までにない新たな脅威にさらされる恐れが出てきたのです。どういうことなのでしょうか?

乗っ取られたプリウス

 実験を行ったのは、米国防高等研究計画局(DARPA)の助成を受けて自動車のセキュリティ問題を研究しているTwitterのセキュリティ研究者 チャーリー・ミラー氏と、セキュリティ企業IOActiveのクリス・バラセク氏。対象車輌は米Fordの「エスケープ」とトヨタの「プリウス」です。

 実験では、ノートPCを使って後部座席から車の電子システムにアクセス。速度計や燃料計などメーターパネルの表示を変える、ホーンを鳴らすといった部分から、エンジンのオン・オフ、急加速やブレーキ、ステアリングの操作まで行えることを実証しました。米Forbes誌がYoutube上にアップロードした動画「Digital Carjackers Show Off New Attacks(http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=oqe6S6m73Zw)」では、記者の驚きとともにその様子が見られます。

 車輌とノートPCは有線だけでなく、無線でも接続することが可能。確かに従来から「カーセキュリティ」という分野は存在しますが、これはあくまでも盗難防止を主目的とするもの。今回のような“乗っ取り”に関しては、まったく方向性の異なるセキュリティが要求されます。そして何より、悪意ある第三者が車輌を遠隔操作できるようになると、その危険度は盗難の比ではありません。簡単な悪戯程度ならまだしも、複数台が絡む事故を意図的に起こしたり、テロに使われる可能性も考えられます。電子制御システムが隅々まで行き届き、なおかつインターネット接続機能まで有する現在の車輌のだからこそ、逆にこうした手口が通用してしまうというのは実に皮肉なものです。