寒風が吹き込む宿舎で火にあたる兵士たち

 イラク北部の町モスルで、イラク軍の部隊に従軍した。朝、宿舎を訪れると、兵士達は火にあたりながらお茶を沸かしているところだった。ガラスの抜け落ちた窓から冬の寒風が吹き込んでくる。

 「何処から来たんだ?日本か?いい国だ。一杯お茶でも飲んでいけよ」
僕はしばし腰を下ろすことにした。
バグダッドから派遣されていたこの部隊の大半の兵士はシーア派のイスラム教徒だが、モスルの住人の多くはスンニ派だ。装甲車両もほとんどなく、宿舎もひどい環境だから、兵士達の不満は少なくなかった。ひとりがこう言った。
「本当は、モスルのことなどどうでもいいって思うこともある。早く自分の町に帰れればいいんだ…」