2020年の五輪開催地が決まるIOC総会が9月7日からアルゼンチンのブエノスアイレスで始まる。その初日に2020年五輪開催地が決まる。この決定ばかりはいつも予測が不可能だ。2012年五輪の開催地はパリが最有力という評判だったが、直前のプレゼンテーションでロンドンが大逆転している。2016年五輪の開催地も最有力はシカゴと言われていたにも関わらず、不安材料が多いと言われ続けたリオデジャネイロが逆転した。この二つの五輪開催地決定のときと今回が異なるのは、IOCの次期会長選挙が、同時に行われるということ。そして、レスリングの五輪存続問題にもかかわる2020年五輪実施競技の最後のひとつも選出される。

 これら3つの決定は、別々の事象であり分けられて論じられることが多い。ところが今回、この3つの事項がリンクしているという見方がある。互いに他者の選出の行方を見ながら、それぞれが、最終結論を出しそうな状況があるのだ。それというのも、レスリングを中核競技から外して以来、最近のIOCには「バランスをとろう」とする態度が強くなっているからだ。
 2月に五輪の中核競技からレスリングが除外された後、IOCにとってみれば予想外の批判にさらされた。ごく一部のメンバーによる独善的な決定だとも指摘され、IOCの運営そのものに対する疑いさえ持たれてしまった。

 これまでも、五輪の開催地選出をめぐる不透明さや、その決定権を握る理事や委員の選出方法などへは繰り返し疑問が投げかけられてきた。だが、それらはいずれも散発的で、しばらく経つとおさまるものだった。ところが、レスリングを中核競技から外してしまったことで、田舎のレスリングクラブで練習に励む子どもから、ラムズフェルド元米国務長官やプーチン露大統領といった国際政治の大物まで、広範囲な意見をぶつけられる状況になってしまった。

 そういう議論が起きた中、公然の事実として認識されたのが、「IOCは公平な決定をしない」という組織に対する捉え方だった。それは存続運動をするレスリング関係者の間で暗黙の了解とされた。慌てたのはIOC側である。実際はどうあれ、貴族や王族もメンバーに多く参加しているIOCの判断は非難されるようなものであってはならないからだ。その後、地位に見合った責任と義務を果たしていることをアピールするかのようなIOC委員らの行動が、レスリングを巡る状況にも多く見られた。