[図]キックオフ時のフォーメーション

 3連勝をマークしたサンフレッチェ広島が勝ち点「53」で横浜F・マリノスに並び、残り6節の時点で得失点差で上回って首位に立った。勝ち点2差の3位で逆転を狙うのは浦和レッズ。昨年の同時期もサンフレッチェが首位、レッズが3位につけていて、そのままフィニッシュしている。

[表]負債6億円超 横浜F・マリノスがJリーグから消える?

Jリーグを席巻する「可変システム」

[図]マイボール時のフォーメーション

 レッズとサンフレッチェの2年連続しての優勝争いを分析する時、両チームのシステムの問題、つまりサンフレッチェを「本家」とする独自の「3‐6‐1」を抜きには語れない。
 選手の配置そのものは、決して珍しくはない。しかし、サンフレッチェとレッズの場合は、キックオフ時の「3‐6‐1」を基本としてマイボール時に「4‐1‐5」へ、相手ボール時には「5‐4‐1」へと変化を遂げる点で世界でも稀有となる。
 いまでは「可変システム」という呼称とともに、日本でもすっかりお馴染みになったスタイルが、なぜJ1戦線を席巻しているのか。

「可変システム」とは

[図]相手ボール時のフォーメーション

 自在にフォーメーションを変化させる「可変システム」を、首位サンフレッチェを例に簡単に説明するとこうだ。

 マイボールになるとダブルボランチの一人、森崎和幸が最終ラインに下がる。センターバックの千葉和彦とともに攻撃のビルドアップ役を担うためだ。
 同時にワントップの佐藤寿人の左右に高萩洋次郎と石原直樹のダブルシャドーが並び、さらに清水航平とミキッチの左右のサイドハーフがウイングの位置に張って5トップとなる。
 相手ボールとなると、3バックと左右のサイドハーフを合わせた5人が最終ラインを形成。ダブルボランチとダブルシャドーを加えた9人による強固なブロックで、相手が攻め込むスペースを消し去る。
 異なる2つのチームがオートマティックにピッチ上に現れる、と表現した方が分かりやすいだろう。

「4‐1‐5」がもたらすメリット

 それでは、マイボール時の「4‐1‐5」がもたらすメリットとは何なのか。元日本代表MFで、現在は解説者を務める水沼貴史氏はこう指摘する。

 「前線に選手が5人もいるわけだから、必然的にタテパスが入るルートが多くなる。5人のうちの誰かがボールを受けに下がってくる。あるいは、相手がタテパスの入るコースを消そうとする。どちらの場合でもスペースが生じて、ワイドに張る左右の選手が生きてくる。守る側としてはブロックを作りづらい上、選手のポジション配置に隙間があれば、そこをどんどん狙われる悪循環に陥ってしまう」

 加えて、「4」の左右はクロスを供給するサイドバックではなく、相手のペナルティーエリア付近までどんどん攻め上がって攻撃に厚みを持たせ、ときにはミドルシュートも放つMF的な仕事を求められる。
 つまり、「4‐1‐5」がときには「2‐3‐5」にも変化を遂げ、相手が守備を受け持つゾーンで次から次へと数的優位な状況を作り出していくわけだ。

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