■オランダを追いつめたザックジャパン

 あのオランダが押し込まれていた。W杯ヨーロッパ予選を無敗で突破し、3日後のコロンビア戦ではなく、この日に現状のベストメンバーをぶつけてきたオレンジ軍団がタジタジになっていた。追い詰めていたのは、今年に入って下降線を辿っていたザックジャパンだった。

 オランダはGKからパスを繋いで攻撃をビルドアップすることを身上としているチームである。その彼らがタッチラインに逃げなければならないほど、日本は後半、果敢なプレスとアタックを仕掛けていた。

 2-2の同点に追いついたあと、78分に迎えた決定機を柿谷曜一朗が決めていれば、昨年10月のフランス戦以来となる大金星を収めていた可能性は低くない。敵将ファン・ハールも「今日の日本は素晴らしかった。2-3で敗れていてもおかしくなかった」と胸をなでおろしていたほどだ。

■狙い通りのショートカウンター

 後半のピッチには、ミスから簡単に2点を失った前半のナイーブな姿は見られなかった。日本はなぜ、勇敢さを取り戻し、立て直すことができたのか――。

 大きかったのは、1点差に詰め寄った前半終了間際の得点だろう。センターバックの吉田麻也が敵陣まで出て行きボールを奪い、長谷部誠から大迫勇也へとつないでゴールを奪った。高い位置で奪って素早く決める――得点が狙い通りのショートカウンターだったことに加え、前半43分という時間帯も実に良かった。

 セーフティーにプレーしていれば、オランダは2点リードのまま後半を迎えられたが、長谷部に簡単に前を向かせ、ドリブルでの侵入を許した。このゴールで試合の流れが日本に傾き、そのまま後半へと突入した。今夏のコンフェデレーションズカップで日本がイタリアにやられたことを、まんまとオランダにやったというわけだ。

 「彼が攻撃を組み立てていた」(長谷部)というデ・ヨングが、負傷のためにハーフタイムで退いたのも、日本が後半を優勢に進められた要因だ。代わって左サイドバックからアンカーに移ったブリントは攻撃を組み立てるタイプではなく、ファン・デルファールトやロッベンといった攻撃のキーマンまでパスを繋げなくなっていた。