10月12日、甲子園でのセ・リーグのクライマックスシリーズ、ファーストステージ第1戦のマウンドに藤浪晋太郎が立った。広島の先発は球界を代表するエース、前田健太。阪神の首脳陣は、あえて、その厳しいマウンドへと藤浪を送った。「いくつか理由はあった。藤浪を使わないままで終われるのか。甲子園で強いのは誰か。絶対に負けられないのは第2戦、1勝1敗での3戦目は、さらにプレッシャーが大きくなるのではないか。次の巨人戦を考えると、藤浪は、中4日では無理なので、先に投げておいた方がいい。そしてこの経験は間違いなく先へつながるはずだと考えた」とは、中西清起ピッチングコーチの説明。結果は、キラに手痛い3ランを浴びて敗戦投手となったが、その経験は、阪神の首脳陣の思惑通り、19歳の投手にとってかけがえのない財産となった。

――クライマックスシリーズの先発を聞かされたときは、どんな心境でしたか?
「そんなに多くを感じることはなかったですね。頭の中ででは(先発は)なくはない、決してゼロではないと思っていました」

――大阪桐蔭高時代に経験した、春夏の甲子園での決勝戦もそうでしょうが、ああいう特別な舞台でのメンタルのコントロールは、どうしているのですか?
「メンタルはコントロールしようと思うものじゃないんです。試合前のルーティンも調整も、シーズン中と何も変わらなかったし、何かを変えたというわけではないんです。至っていつも通りです。クライマックスは、ひとつも負けられない戦いで気合は入っていましたが、特別にメンタル的な操作はしていません」

――あの試合を振り返ってみると。
「反省はあります。自分の失投、自分のミスで大事な1試合を逃してしまったんです。この反省は、今後に生かさなければならないものですし、悔しさもありました」

――もし“たら、れば”が通じるならば、1対1で迎えた5回二死一、二塁の場面でキラに痛恨の3ランを打たれた1球の選択肢を変えましたか? カウント2-1からのスライダーでした。
「ボールの選択は間違っていないと思うんです、スライダーという球種で間違っていません。ただ、コースが甘かった……(内角に投げるはずが)ボールが抜けた感覚がありました。徹底して、そこへ投げきるというコントロールに精度がなかったんです。自分のやってはならないミスだと思っています」