[グラフ]法務省に寄せられたネットの人権侵害に関する相談件数

ネット上でのプライバシー侵害や名誉毀損に関する相談件数が年々増え、昨年は4000件近い相談が寄せられました。相談を受け付けている法務省では「人権侵害をなくすことが必要」と訴えると同時に、悪質なネットの書き込みなど人権侵害と判断したケースについては削除要請も行っており、「トラブルに巻き込まれたときは早めに相談してほしい」と話しています。

法務省によると、同省に寄せられた2012年の相談は3926件で、2009年と比較して1.4倍なっています。そのうち法務省が人権侵害にあたる疑いがあると判断して調査を開始したケースは671件。今年10月までの速報値では、相談件数が3643件、調査を開始した件数は712件となっています。

同省の相談窓口には、本人を特定できる形で「職場で迷惑な存在だ」と掲示板に書かれたり、風俗店で働いていたことを書き込まれたりしたといった相談が寄せられています。

事実であってもなくても、ネット上の人権侵害は、被害者の生活を一変させてしまいます。

いじめが原因で大津市の中学生が自殺した問題では、病院職員の男性が「加害者の親族」だという事実無根の内容を書き込まれました。勤務先には「辞めさせろ」「死ね」など脅迫電話が殺到。被害男性は「無責任な書き込みがどれほど苦痛を与えるのか知ってほしい」「拡散した人たちにも被害を知ってほしい」と訴え(11月08日、毎日新聞)、掲載した男性を相手に裁判を起こしています。

拡散を助長する原因として、いわゆる「まとめサイト」やソーシャルネットワークの存在も無視できないでしょう。これらのサービスが登場する以前なら、中傷する内容は特定の一か所で済んでいたものが、一度さらされてしまうと、中傷する内容が次々とコピーされてしまいます。拡散する人たちは、罪の意識も低めになりがちです。

そもそもネット上の人権侵害は、被害者と加害者がはっきりとしているリアルな世界と違い、「被害者は明確でも、加害者が誰なのかはっきりしない匿名性に問題がある」と同省人権擁護局は説明します。このため、無責任な書き込みがされやすいのです。

こうしたトラブルに巻き込まれた場合の窓口が「人権相談窓口」です。法務局職員や全国約14000人の人権擁護委員が電話やネットで無料相談を受け付けており、相談者に削除手続きなどをアドバイスしています。内容によっては、被害者に代わって法務省がサービス業者に削除要請をする場合もあります。

相談は「みんなの人権110番」(0570-003-110)へ。平日午前8時30分から午後5時15分まで受け付けています。