[図] 英グレートブリテン島の北部3分の1を占めるスコットランド

 2013年11月26日、英スコットランド自治政府のアレックス・サモンド首相は、2014年9月に予定されている、独立の賛否を問う住民投票に向け、独立後の方針をまとめた「白書」を発表しました。人口約530万人のスコットランドが「独立」するかどうかは、英国という国家の枠組みにかかわる問題です。その背景には、何があるのでしょうか。【国際政治学者・六辻彰二】

根深いイングランドへの対抗意識

 グレートブリテン島の北部三分の一を占めるスコットランドは、そのほぼ全域が11世紀にスコット人の王朝によって統一されました。しかし、その頃から、南隣のイングランドとの抗争が頻発。最終的に1707年にイングランドと合併し、共通の君主を戴くグレートブリテン王国が成立したのです。

 しかし、この合併は形式的には対等でも、王宮がイングランドに置かれたように、スコットランドにとっては「吸収」に近いものでした。そのため、スコットランドではイングランドへの対抗意識が根深くあります。スコットランド出身の俳優ショーン・コネリーは、2000年に英国王室からナイトの称号を贈られましたが、この授与式に民族衣装のキルト(男性のスカート)を着用して臨んでいます。

1997年の住民投票で議会設立

 「独立」の転機は、1997年5月にスコットランド出身のトニー・ブレア首相が就任し、同年9月にスコットランド議会の設立をめぐる住民投票が実施されたことでした。その過半数の賛成に基づいて、1999年7月にはスコットランド議会が開設。スコットランド議会には、外交、国防、エネルギー、社会保障などを除き、警察や教育を含めた幅広い分野で法律を策定する権限が与えられています。

 さらに2011年のスコットランド議会選挙では、独立を強調する、民族主義的なスコットランド国民党が初めて過半数の議席を獲得。その選挙公約にしたがって、2012年10月、英国キャメロン首相とサモンド首相の間で、独立の賛否を問う住民投票の実施が合意されたのです。