[写真]第46回小倉記念 中央競馬 ビッグレースに乗れる騎手はひと握り(Photo:Flickr user kanagen)

 先日、久しぶりに競馬場を訪れた知人が、様変わりした某ベテラン騎手の乗り方を見て驚いたという。「あの人ってあんな乗り方だった?何だか格好悪くなってたけど」。競馬ファンには周知の事実だが、最近は若手やベテランを問わず、激しいアクションで馬を追う騎手が増えて来た。十年一昔とも言う。彼の驚きも無理はない。

■パワーが必要な地方競馬出身者の乗り方が起源

 時代の変化を語る上で、地方競馬出身騎手の存在は無視できないだろう。2003年に公営・笠松の安藤勝(13年に引退)が史上初のJRA移籍を果たすと、小牧、岩田、内田博、戸崎圭…といった地方の腕達者がこぞって中央の門をくぐった。野球に例えるなら、野茂を皮切りに、イチローやダルビッシュが大リーグで活躍しているのと同じようなシチュエーション。身体能力の高さと豊富なキャリアを活かし、今では中央の舞台で存分に腕を振るっている。

 彼らが育った地方競馬は、ダート(砂)主体でパワー優先。深い砂の上をいかに速く走らせられるかが騎手の技量だ。以前、岩田は自身のフォームについて「ブランコをこぐようなイメージ」と語った。腰をグッと前に入れて、バテかけた馬を必死に鼓舞。全身を使って馬を動かすことが求められた。そのスタイルが、今でも彼らに染みついているのだ。

■「トントン」は以前の中央競馬にはなかった

 鞍の上で連続的に尻もちをつくような追い方が特徴的。縦の上下動が大きいため、騎手の間では「トントン」と呼ばれている。冒頭の話に戻るが、知人が驚いたという某ベテラン騎手がしていた追い方がまさにこれ。以前の中央競馬では見られなかったスタイルだ。

 このトントン。お世辞にも格好がいいとは言えない。動きに無駄がなく、馬に負担を掛けない武豊の華麗なフォームとは正反対である。芝がメインの中央競馬は、パワーよりもスピード優先。馬上での激しいアクションは怪我のリスクも伴う。関係者の中には「あんな追い方をされると馬の背中が痛む」と非難する声もある。決して万人に好まれているわけではない。

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