[写真]「はやぶさ」チームの間でこの画像が出回り、ラッコの体の部位で位置を言い表すようになったそうです(提供:JAXA)

日本中を感動の渦に巻き込み、映画にもなった探査機「はやぶさ」。はやぶさが着陸したのが小惑星「イトカワ」ですね。そのイトカワ、ラッコの形をしているということでも話題になりましたが、頭の方が胴体と比べて重いということが分かりました。それがどうしたって? 「2つの天体が衝突して合体したのではないか?」など、どのようにして小惑星ができたのかを知る強力な手がかりになるのです。

[写真]尾っぽがある彗星のような小惑星を発見

[写真]小惑星の形をラッコの姿に見立てると、頭(赤)が体(青)より高密度であることがわかりました(提供:ESO, JAXA)

2005年に探査機「はやぶさ」が行った観測では、イトカワは長さ540メートルのラッコ型であること、12時間に一回のペースで自転していることがわかっています。地球のように大きい丸い天体ではなく、ラッコ型のような不規則な形の小さな天体の場合、太陽の影響で自転の速さが変わることが知られています。

太陽の影響で天体の自転の速さなどが変わる現象を「ヤルコフスキー効果」と言います。ロシアの技術者ヤルコフスキーさんが見つけました。太陽からの光エネルギーが熱として放射され、その力でわずかながら小惑星などを動かすのです。すごいですね。

しかし、本当にイトカワは「ヤルコフスキー効果」で動いているのでしょうか? イギリスのケント大学の研究者が、チリにある望遠鏡でイトカワの自転速度を精密に計測しました。その結果、イトカワの自転がほんの少しずつ速まっていることがわかったのです。少しずつというのは1年に0.045秒という、本当に少しずつです。

これは、ラッコに例えられる頭と胴の部分が、異なる密度を持っているとしか考えられない結果で、2つの違ったパーツでできていることを示す初めての証拠だと言います。

ラッコの頭と胴体は、太陽系にある小さな天体がどうやってできたのかを探る重要な成果をもたらしてくれたのです。

(監修:アストロアーツ

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします