今や日本車を代表する一台として不動の地位を築いたプリウス。天才的な発明と、きめ細かいエンジニアリングで実現されたものづくり。日本ならではのサポート体制。プリウス・ブランドを支えるその背景を追ってみた。

【図表】軽自動車の登録台数の推移は?

世界で初めてエネルギーをリサイクルしたクルマ

[写真]プリウスのエンジンルーム

プリウスの技術的な核はそのハイブリッドシステムだ。130年前に発明されて以来、自動車は加速する時にエンジンで燃料を燃やして運動エネルギーを作り、減速する時はブレーキの摩擦を介して運動エネルギーを熱に変換して大気中に発散する仕組みだった。これまで捨てていた減速時の運動エネルギーで発電機を回し、電力として再利用したことがハイブリッドの画期的な点だ。

ハイブリッドでは、必然的にエンジン、モーター、発電機という3つのパートから車両の状況に合わせてタイヤに力を出し入れすることになるが、プリウスではこの複雑な力の出し入れを歯車を組み合わせたヤジロベーのような単純な仕組みで解決してみせた。プリウスのエンジニアリングにおいて最も天才的な部分はこの仕組みだ。

発進が得意なモーターを組み合わせ低燃費

前述の通り、ハイブリッドのエコシステムの核はエネルギーリサイクルにある。都市部など、信号での発進停止が多い運転パターンではエネルギーリサイクルが頻繁に働き、従来のクルマと比べて低燃費をマークしやすい。

さらにモーターならではの特性も活かせる。エンジンは一般的に低速回転で力を出すことが苦手なため、クルマの動き始めはあまり力が出ない。慣れない人がマニュアルミッションのクルマを運転するとエンストしやすいのはこのためだ。一方モーターは動き始めに一番力が出る特性があるため、発進は得意中の得意。「動き始めをモーター」「速度が上がったらエンジン」と、それぞれの得意な場面でパワーソースを使い分けられることに大きなメリットがある。

モーターはエンジンと違って騒音面でも有利だ。信号が変って発進する時にエンジンに負荷をかければ当然騒音源になる。しかも発進直後は速度が乗っていない分長時間近隣に迷惑をかけてしまう。プリウスはなるべくモーターだけでスタートするので、動き始めが力強く、かつ静かなのだ。