[地図]水没の危機があるツバルとキリバス

 南太平洋にあるキリバス共和国周辺の海面は過去20年間、毎年数ミリずつ上昇し、水没の危機が叫ばれています。首都タラワ周辺では2055年までに最大30センチ近く上昇すると予測され、世界銀行はタラワのある島の5~8割が50年までに浸水する恐れがあると警告しています。そのため、キリバス政府は将来の国民の海外移住も視野に入れているのです。

フィジーが移住受け入れ表明

「キリバスが水没したら、フィジーが全キリバス人の移住を受け入れる」
 2月11日、フィジーのナイラティカウ大統領はキリバス政府に対してこう表明しました。キリバスはすでにフィジーに広大な農地を購入し、塩害でキリバスが耕作不能になる事態に備えています。今後の対処にも両国が連携して取り組んでいくことでしょう。海面上昇により、国家消滅の危機が叫ばれているのはキリバスだけではありません。おなじく南太平洋のツバル、インド洋のモルディブもそうです。

 ツバルは、9のサンゴ礁の島からなり、平均海抜は2メートル(最大5メートル)。人口1万人の国です。この国では海面上昇や地盤沈下などによって、洪水や海水の浸水、塩害などすでに発生しています。モルディブは国土の80%が海抜わずか1.5メートルで、1000以上の島がありますが、ほぼすべての島の海岸が浸食されているといいます。

 これらの国々は島国であるため、水の問題もあります。洪水による地下水の貯蔵タンクの破損や水の塩分濃度の増加なども起き、安全な水の輸入も増えているのです。モルディブは関連費用としてGDPの27%を費やしているといいます。

日本も人ごとじゃない?

「現在の温暖化ガス排出のペースが続くと2100年までに世界の海面は約1メートル上昇し、その後10年ごとに約18センチ高くなっていく」
 気候変動に関する最先端の研究論文が掲載される月刊誌「Nature Climate Change 」は、2012年6月号でこんなショッキングな論文を掲載しました。これまでも地球温暖化による海面上昇については数々の指摘がされています。

 1990年のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が出した報告書では、「過去100年間に全球平均地上気温は0.3~0.6度、海面は10~20センチ上昇し、特段の対策がとられない場合、21世紀末までに全球平均地上気温は約1~3度の上昇し、全球平均海面水位は65センチ(最大1メートル)の上昇が予測される」としていましたが、その予測の最大値で海面上昇は進んでいることになります。

 仮に海面が1メートル上昇すると、どこまで土地が浸水されるでしょうか。フロリダ州やバングラデシュ、マンハッタンの大半が浸水すると予測されています。日本では現在の砂浜が90%ほど失われ、東京の西側はほぼ水没してしまいます。

 海面上昇によって、国そのものが存亡の危機にひんしている地域もあります。南太平洋のツバル、キリバス、インド洋のモルディブといった国々です。水没や海岸浸水の危機にある島々の多くは水も資源もない小国です。他国からの援助が必要ですが、観光客に対応するための土地開発がさらに島の侵食を誘発している面もあります。

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