国際的な資産隠しや脱税に対する監視網を強化する動きが活発になっています。OECDは2014年2月、主要20カ国(G20)に対して、国際的な銀行口座情報を相互共有する仕組みを構築するよう提案しました。2015年の導入を目指して現在実務作業が進められています。日本の税務当局はこういった取り組みからどのような成果を上げようとしているのでしょうか?

 欧米各国は人やお金の出入りが激しく、国を跨いだ課税逃れが活発といわれています。例えばフランス人がドイツのビジネスで稼いだお金をルクセンブルグの口座に入れるといったようなケースでは、本人の国籍、所得の発生する場所、所得が貯め込まれる場所がそれぞれ異なっており、各国の課税当局はその補足に苦労するわけです。

 しかし、日本の場合、いい意味でも悪い意味でもガラパゴスとなっており、グローバルにお金を稼げるような立場の人はごくわずかというのが現実です。まったく例がないわけではありませんが、お金持ちの人が海外の隠し口座を使って所得を隠しているというのは、少なくとも現在の日本においては、われわれ庶民が作り出したイメージに過ぎないという面が強いのです。正当に稼いだ資金であれ、犯罪でかせいだヤミの資金であれ、所得の源泉のほとんどは日本国内にあることが多いのです。

 しかしながら、日本の税務当局がこうした取り組みに参加する背景には、所得の捕捉ではなく別な狙いがあるといわれています。それは相続税の問題です。日本の財政状況は厳しく、現在の水準の社会保障を維持しようと思った場合には、消費税の10%増税ではまったく足りないと言われています。税収をさらに増やそうとした場合には、所得や消費に課税するのではなく、日本人が持つ資産に課税する以外に方法はありません。資産課税の最有力候補が相続税の増税というわけです。

 そうなってくると資産をたくさん持つ富裕層の一部は、高い相続税を嫌って、これを回避しようとする可能性があります。相続税を支払わずに済ませる方法としては、子供を若いうちから相続税のない国に住まわせ、時間をかけて資金を送金するというやり方がよく用いられます。

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