読売新聞が医療や法律の分野における専門知識を持った記者の募集を開始したことが話題になっています。とかく専門性に欠けると批判されてきた日本の大手マスコミですが、こうした状況を変えるきっかけになるのでしょうか?

[イメージ]専門記者を募集を始めた読売新聞

 読売新聞が出した募集要項によると、医師免許や法曹資格を持ち、医療や司法の分野において実務経験のある人を求めているということです。年収は30代半ばで1000万円とそれなりの好待遇となっており、一般の新聞記者と異なり、本社と地方を行き来することはなく、基本的に本社勤務になります。

 日本の新聞記者は、他の日本企業と同様、基本的に新卒一括採用が原則となっており、下積み経験を経て第一線の記者となります。取材をして記事を書くスキルは身に付きますが、各分野の専門家ではないため、専門性が高い分野では知識不足となることが指摘されてきました。これはゼネラリストばかりでプロフェッショナルがいないという日本企業が抱える問題と基本的に同じものです。

 米国の新聞やテレビでは、ジャーナリスト一筋の記者もいれば、各分野の専門家から転身した記者もいます。またコンサルタントという名称で専門家が記者の立場で解説するケースもあります。日本よりは専門家の登用は進んでいるといってよいでしょう。

 記事を書くプロが専門知識を後で習得するよりも、専門家が記事を書くトレーニングを受けた方が効率が良いとの指摘もあり、うまくいけば、こうした専門記者のシステムも機能することになるかもしれません。

 しかし、もっと根本的な部分でこの効果を疑問視する声もあります。日本の新聞では専門知識を生かした記事はそもそも必要とされていないという指摘です。

 読売新聞をはじめとする日本の大手新聞社は世界でも類を見ない大部数を発行しています。読売新聞は約1000万部、朝日新聞は約750万部もあり、世界的に見て、これほどの部数を発行する新聞社は存在しません。欧米で専門知識が要求される高級紙は、せいぜい数十万部といったところです。