2012年10月に施行された「改正著作権法」で、違法ダウンロードの罰則化が定められました。CDの売上減少に悩むレコード業界などの強い働きかけがあって成立したといわれる法律で、音楽や映像などの電子ファイルを海賊版(違法アップロード)と知りつつダウンロードした場合、個人であっても「2年以下の懲役、又は200万円以下の罰金、あるいはその両方」という厳しい罰則が科せられるというものです。国会で実質的な審議がほとんど行われないまま可決されてしまったこともあり、ネット上で反発の声が吹き荒れました。

音楽の正規コンテンツ販売額減少は止まらない

[図表]有料音楽配信と音楽ソフト売り上げの推移

 はたして、罰則の効果はあったのでしょうか。日本レコード協会が発表している音楽市場のデータをみると、2012年まで音楽の売上金額はじりじりと減少しています。同じ条件で比較できなかったのでグラフに並べませんでしたが、改正著作権法施行後の2013年も「有料音楽配信」は約417億円で前年比77%。「音楽ソフト生産金額」は約2705億円で前年比87%と、罰則化には関係なく減少を続けています。

 ちなみに、音楽ソフト売上金額のグラフで2012年は前年より増加しています。これは、Mr.Children がリリースした2枚のベストアルバムがミリオンを達成したり、AKB48が大ブームを巻き起こすなど、コンテンツの力に恵まれた結果です。売上減少に歯止めをかけるために、罰則化の効果はあまりなかったとも言えます。

違法ダウンロード罰則化の認知向上が最大の効果

[図表]違法DLに利用される可能性があるサイトの利用者推移

 また、違法ダウンロードでの検挙者も現在までまったく報告されていません。いったい2012年の「改正著作権法」でどんな効果があったのか。調べてみると、文化庁のサイトで「改正直兼法の施行状況等に関する調査研究報告書」が公開されていました。PDFで167ページにおよぶ膨大な報告が結論づけているのは、法改正の認知度が高まることによって、違法ダウンロードに一定の抑止効果を発揮した、ということです。

 報告書の中では、違法ダウンロードに利用される可能性があるサイトなどの利用者が、違法ダウンロード罰則化後に半減して、その後も減少し続けているデータも紹介されていました。約4万6000人へのアンケートでも、違法ダウンロードの刑事罰化は62.3%に認知されていて、この問題に対する世間の関心が高いことを裏付けています。

「世の中でこれだけ認知されている法律はあまり多くないのではないでしょうか。音楽の売上減少は続いていますが、ネットでの『聴き放題』サービスが前年比で大きく伸びるなど、明るいニュースも届いています。新しく魅力的なサービスやコンテンツの登場に期待しています」(日本レコード協会広報担当:米内氏)

 なにはともあれ、お金を出してでも聴きたい音楽の登場がなにより大事。レコードがCDに、CDがネットに移り変わった中で、新しい音楽のカタチが生まれることを、初音ミクちゃんも願っているに違いない。

(寄本好則/三軒茶屋ファクトリー)