[図表] 最低賃金の相対水準比較。各国の最低賃金が、その国の賃金の中央値と比べてどれくらい高いか低いかを示す(出所:OECD Economic Policy Reforms 2013)

 居酒屋などを展開するワタミグループのアルバイトの時給が最低賃金ギリギリであると共産党の議員が批判しました。同社創業者の渡邉美樹参議院議員は「そうではない職種もある」と反論しています。そもそも最低賃金とはどのようなものなのでしょうか?

 最低賃金とは、最低賃金法に基づき、事業者が従業員に支払う賃金の最低限度について国が定めるという制度です。最低賃金の金額については、物価など生活環境が異なりますので、都道府県ごとに定めることになっています。例えば東京での最低賃金は時給869円ですが、最も安い地域では664円となっています。

 最低賃金が設定されている理由は、これを定めないと悪質な事業者が極めて安い賃金で労働者を働かせるという事態が発生する恐れがあるからです。つまり、最低賃金は労働者を守るセーフティネットという位置付けであり、その金額は生活保護の水準を下回らないよう常に見直されることになります(こうした見直しのタイムラグがあると、最低賃金が生活保護を下回るという事態も生じることがあります)。

 ちなみに先進諸外国の最低賃金は日本より高いところがほとんどです。例えばフランスの最低賃金は9.43ユーロ(約1331円)、英国は6.31ポンド(約1065円)、米国は欧州より安く、州によって異なりますが、各州を平均するとだいたい8ドル(約812円)程度になります。

 ただ最低賃金の設定には賛否両論があり、ドイツのようについ最近まで最低賃金が導入されていなかった国もあります。ドイツに最低賃金がなかったからといってドイツの賃金が劇的に安いのかというとそうでもありません。ドイツでは低賃金労働の相場は6ユーロ(約847円)前後でしたから、むしろ日本よりも賃金は高い水準で推移していました。暴力による強制など犯罪を伴わない限りは、経済合理性のない賃金で働く労働者は原則として存在しません。最終的に賃金は法律ではなく、市場メカニズムで決まってくるという側面が大きいのです。

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