観光業を振興するための地域活性化ファンドが政府系金融機関主導で設立されました。日本政府は観光立国を掲げているのですが、果たして効果はあるのでしょうか?

 新しいファンドは、日本政策投資銀行、官民ファンドの地域経済活性化支援機構、投資会社リサ・パートナーズの3社が共同で設立しました。金額は13億円でこのファンドがマザーファンドとなり、その下に地域別の子ファンドが組成されます。子ファンドには各地域の地銀や信金などが出資する予定です。具体的な投資対象は、日本の観光の活性化に寄与する旅館、ホテル、特産品メーカー、地域交通会社などです。

 日本政府は観光業を発展させることを国策としており、外国人観光客1000万人という目標を掲げています。昨年は見事にこれを達成しました。その背景には、貿易赤字が慢性化しており、従来のように製造業の輸出で外貨を稼ぐことができなくなっているという事情があります。外国人観光客がお金を落としていけば、地域経済が活性化し、貿易赤字の影響も緩和されるという目論見です。

 ただ、外国人観光客の誘致によって、本格的に地域経済を活性化させるためには、1000万人という数字ではまだ小さすぎるというのが現実です。一般に観光業が盛んな国というのは、長い歴史があり、巨大都市を擁していることが条件になるのですが、日本はこれを満たしています。

 しかし日本が受け入れている外国人観光客の数は、同じ条件の諸外国と比較するとかなり少ないことが知られています。英国は毎年3000万人、米国や中国は6000万人、フランスにいたっては 8000万人もの観光客を受け入れています。地理的条件が不利であるとの指摘もありますが、場所が近い中国が日本の6倍もの観光客を獲得している事実を考えると、それはあてはまらないといってよいでしょう。観光業で目立った経済的成果を得るためには、少なくとも今の3倍程度に観光客を増やす必要があると考えられます。