4月に入り、新社会人の生活が一斉にスタートしました。これは来年に向けての就職活動が本格的に始まったことも意味しています。来春には改正労働者派遣法が施行される可能性が高く、派遣労働者の数はさらに増えることが予想されます。働き方の多様化がさらに進むことになりそうですが、これはどう理解すればよいのでしょうか?

 政府は原則として働き方の多様化を進める方向性で労働政策を進めており、解雇規制の緩和や派遣法の改正などについて議論してきました。基本的には新卒として入った会社で一生働くということだけを前提とせず、様々なパターンの働き方ができるよう、制度を整え、雇用の流動化を促進するという考え方です。

 しかし、すでに正社員となり終身雇用が保障されている人からの反発が大きいことや、現時点において正社員と非正規社員の待遇に大きな違いがあるため、雇用の流動化を進めるのはそう簡単ではありません。派遣法の改正については、実施されることがほぼ確実となったものの、もっとも重要なテーマである解雇規制についてはほとんど議論が進んでいません。

 以前と異なり、現代は社会の変化が激しいですから、社会で必要とされるニーズやスキルはめまぐるしく変わります。必要な分野に素早く人材が集まった方が変化への対応力は高まります。経済効率という観点からみれば雇用は流動化した方がよいということになるでしょう。日本経済が長期にわたって停滞している原因のひとつとして、新卒一括採用、終身雇用という硬直化した労働市場の存在を指摘する識者もいます。

 しかし、新しい時代のニーズに対して全員がすぐに対応できるとは限りません。雇用を一気に流動化させてしまうと、次の職場をなかなか見つけられない人が出てくるため、所得格差が広がってしまうと危惧する声もあります。

 もっとも、日本の相対的貧困率は15%に達しており、すでに米国並みの超格差社会となっています(米国の貧困率は日本と同程度。これに対して欧州各国は日本の半分以下)。正社員は非正規社員の1.6倍、大企業の社員は中小企業の社員よりも1.3倍も高い賃金を得ており、その格差は一生続く可能性があります。雇用を意図的に流動化し、適材適所で人材を再配置した方が、結果的に機会や結果の平等を実現しやすいかもしれません。

 ただ現実問題として、大企業の正社員と、中小企業の社員、あるいは非正規社員との間には、極めて大きな経済格差があります。もちろん、スキルのある一部の人にとっては、給料の高い派遣社員でいる方が生涯年収が高いという可能性もあるでしょう。

 しかし、特に目立ったスキルのない人にとっては、安定した企業の正社員でいることのメリットは計り知れないものがあります。就活という人生のごくわずかな時間で人生のほぼすべてが決まってしまうという現実を考えると、多くの人が大企業の正社員になろうとするのは無理もないことなのかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

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