15日に衆議院鹿児島2区の補欠選挙が告示されます。「たった1議席」を争う補欠選挙。それでも国会議員を選ぶ選挙なので国政がテーマになり、時の政権に影響を与える事態になることもあります。過去に「政局の節目」となった例を挙げてみます。

■「売上税」で岩手ショック

 1987年3月の参院岩手補選では当時の中曽根康弘首相が言い出した「売上税(今の消費税に相当)導入」にほぼ「反対」を唱えただけで日本社会党(当時の野党第一党)候補が圧勝して「(当選は)中曽根さんのお陰です」と皮肉られ(岩手ショック)、それもあって売上税撤回に追い込まれました。

■「消費税」「リクルート事件」で山が動いた

 1989年2月、自民前職の死亡にともなう参院福岡補選では社会党公認候補が当時の竹下政権が導入を進めていた「消費税導入」と前年に発覚した「リクルート事件」に嫌気して自民党候補に完勝しました。

■「佐川急便事件」で連合候補が初当選

 1992年3月の参院宮城補選は労働組合の中央組織「連合」を基盤とした候補が大接戦の末に自民党公認候補らを退けて初当選。東京佐川急便事件などの相次ぐ政治家のスキャンダルに県民の怒りが爆発し、当時「とりあえず自民に」が当たり前だった宮城での勝利は連合の山岸章が「スリルとサスペンス」と振り返るほどの激戦でした。

 89年と92年の結果は背景に関税貿易一般協定(GATT。今のWTOの前身)のウルグアイ・ラウンド(1986年~94年)で迫られていた「コメ市場の開放」に定まらない姿勢をみせていた政府・自民党に農家が批判的な視線を向けていた点で共通します。

■「ガソリン税」「消えた年金」で民主が金星

 自民党前職が市長選立候補のため辞職して行われた2008年4月の衆院山口2区補選は民主党公認候補が自民党新顔を破って議席を奪取しました。民主党候補はガソリン税などの道路政策、いわゆる「消えた年金」問題、告示日から保険料天引きが始まった「後期高齢者医療制度」を攻撃材料にして自民党王国の山口で金星を挙げました。翌年に実現する民主党政権を予感させる結果でもありました。

 こうしたケースをまとめると、(1)税や社会保険など負担増に対する不満、(2)「政治とカネ」をめぐる不信、の片方か両方が背景にあることが分かります。


■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。【早稲田塾公式サイト】