[写真]シャープ本社(photo by Otsu4)

 経営再建中のシャープが、再び増資を行うと報道されています。果たしてシャープの経営状態は改善しているのでしょうか?

 シャープは2013年3月期の決算において約5500億円、その前の決算では約3800億円という巨額の赤字を計上しました。一時は自己資本比率が6.5%にまで低下し、経営危機説が囁かれたこともありました。

 当初は台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の支援を受けて事業を再生する計画でしたが、シャープの経営陣がホンハイ傘下での厳しいリストラを懸念し、同社からの支援を断ってしまいました。結局、銀行からの追加融資に加えて、公募増資やLIXILグループなど取引先からの出資で約1400億円を調達し、当面の財務的なピンチを切り抜けました。現在のところ同社の自己資本比率は13.5%まで回復していますが、同社には依然として1兆2000億円もの有利子負債が残っています。これを圧縮していくためには、本業で大きな利益を上げるか、再度、増資によって資金を調達しなければなりません。

 同社の2014年3月期決算は、売上高2兆9000億円、経常利益は400億円と3年ぶりの黒字となる見込みです。前期の売上高は約2兆5000億円でしたから約16%の売上増ということになります。スマホやタブレット向けの液晶パネルが好調だったことに加え、メガソーラー用太陽電池パネルの出荷が大幅に伸びたことが業績を押し上げました。ただ売上高の伸びに比して、利益はあまり改善しておらず、営業利益率は3.4%にとどまる見込みです。以前のような利益体質に戻ったとはいえず、本業からの利益で有利子負債を返済していくのは、現状では困難でしょう。

 結局、同社は新株を発行し、投資から広く資金を集めることで財務体質を改善するという道を決断したと考えられます。増資の金額は2000億円といわれていますが、もしこの金額の増資が実施されれば、同社の自己資本比率は20%程度まで上昇します。とりあえず安心できる水準になると考えてよいでしょう。

 増資によって財務的な余裕ができることはプラスですが、逆にいえば、これまでのところは、増資によって過去の損失を埋めてきただけと解釈することもできます。同社の収益は、スマホとタブレットPCの出荷動向に大きく左右される状況となっています。特定デバイスに過度に依存するという、同社の基本的な経営体質はあまり変わっていません。増資によって得られた資金をどのような成長分野に投じていくのか、今後、同社が提示する経営戦略に注目していく必要があるでしょう。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)