4月16日午後、STAP細胞問題の件で、論文の共著者である理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長が記者会見しました。「疑惑と混乱をもたらしたことを深くおわびします」と反省の姿勢を見せるとともに、この論文における自分の役割は、執筆の仕上げのための助言であったことなどを説明しました。

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会見説明資料の内容に驚き

[写真]笹井氏の会見場で配布された資料

 筆者が会見会場で最初に驚いたのは、配布された説明資料の内容でした。資料によると、「STAP現象」なるものは――。

「検証すべき『仮説』」
「検証する価値のある『合理性の高い仮説』」

だといいます。そして論文は撤回されるべきものであると再主張しました。

 その上で「STAP現象を前提にしないと容易に説明できないデータ」があると述べ、「人為的な操作が困難」で、「確度の高い」ものだけを見ても、「STAP現象は現在最も有力な仮説」と考える、と主張しました。

納得しにくい「仮説」説明

 「仮説」とは、文字通り仮に設定された説のことです。つまり、ある細胞をある条件で酸に浸すと、あらゆる細胞になる能力をもつ「万能細胞(多能性細胞)」になる、という理論は、いまなお「仮説」にすぎず、これからも検証されるべき、ということです。この新しい「万能細胞」の存在とその作り方は、高名な科学雑誌『ネイチャー』で論文として発表されたにもかかわらず、論文の主要著者がまだ「仮説」だと断言したのです。

 「細胞」ではなく、「現象」という言葉が使われていることも気になります。笹井氏の説明によれば、「STAP現象」とは「STAP細胞」と同義とのことですが、釈明のようにも聞こえます。

 資料と会見の内容が、研究計画書やそのプレゼンなどであれば、驚く必要はありません。こうした仮説を検証するために実験計画を立て、それを実施し、その方法論と結果を詳細に記したものが科学論文だからです。しかし論文が公表され、疑惑をもたれてから、主要著者が論文に書いたことをまだ「仮説」だと言うのは、きわめて納得しにくいことです。

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