難航していたTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉において、日米で基本合意できる可能性が高まってきました。焦点だった牛肉と豚肉の関税について、日本側が大幅な引き下げに合意したと報道されています。

 もともとTPPの交渉は、4月のオバマ大統領来日に合わせて合意に達するとみられていました。しかし、日本側が提示した関税の引き下げ案では米国側が納得せず、結局、首脳会談での協議は物別れに終わり、TPPについては、引き続き協議を継続することになってしまいました。

 その後、5月1日になって、米通商代表部(USTR)のフロマン代表が、議会の公聴会において「重要な一線を越えた」と発言し、日米で合意が近いことを匂わせていました。日米とも業界関係者との調整が必要なため、具体的な合意内容は明らかにしていませんが、TBSが報じたところによると、豚肉は差額関税制度を維持する一方、関税の額については最大482円から50円に、牛肉の関税率は9%に引き下げることで合意したとのことです。

 日本は、豚肉について差額関税という特殊な関税をかけています。差額関税とは、輸入品と国産品の差額分を関税として課税し、内外価格差を縮小するというものです。この差額関税は、国産品を保護するという度合いが高く、米国側が強く批判してきました。

 現在、482円の関税がかけられている豚肉は、1キロあたりの価格が約64円以下の極めて安価なもので、全体に占める割合は非常に少ないといわれています。正式な発表ではないので詳細は不明ですが、この価格帯のみ関税を50円に引き下げるということであれば、国内業者への影響は限定的となる可能性が高いでしょう。しかし、他の価格帯の関税についても見直しが行われる場合には、国内業者は大きな打撃を受けることになります。

 コメ、麦、乳製品については、関税が維持されることになりましたが、輸入枠の拡大など、他の施策に対して同意する必要がありそうです。しかし関税の維持という当初の目的は達成されています。

 TPP交渉はもともと攻めの米国に対して守りの日本という図式であり、当初から不利な交渉であることが予想されていました。またオバマ大統領の来日では、日本側の強い要望で、2泊3日の国賓待遇に変更になったり、オバマ大統領が、尖閣諸島について日米安保の適用対象であると明言するなど、日本側の「借り」が目立っていました。

 今回、報道されている合意内容でまとまったということであれば、日本側はかなり健闘したと考えてよいでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

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