[図]集団的自衛権に関する議論、今どうなってるの?

 自民・公明の両党は、集団的自衛権の行使容認をめぐって与党協議を開始しました。集団的自衛権に関する議論は現在どうなっているのでしょうか。

 安倍政権では集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の見直しを進めようとしています。現在の政府見解では、個別自衛権の行使は憲法9条で認められているものの、集団的自衛権(他国と共同で防衛する権利)の行使は禁止しています。この政府見解を閣議決定によって見直し、集団的自衛権の行使に道を開こうというものです。

 憲法解釈見直しを議論している安倍首相の私的懇談会は、先週、憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使を容認するよう求める報告書を提出しました。報告書では、集団的自衛権を行使する際の要件として、密接な関係にある国が攻撃されること、日本の安全に重大な影響があること、攻撃された国から明確な支援の要請があること、などが提言されています。具体的には、有事の際に米国の艦船を防御することなどが想定されています。

 当初は、報告書の提出後、一気に閣議決定に進むかと思われていましたが、今のところそのような状況にはなっていません。連立を組む公明党や自民党内の一部から解釈見直しについて慎重な意見が出ているからです。安倍政権としては、公明党との協議を行うことで、より慎重に解釈見直しを進めていく方針のようです。

 憲法解釈の見直しについては、基本的に思想信条に基づいた議論がベースになっているわけですが、政治の世界ですから、必ずしもそれだけの要因で議論が進んでいるわけではありません。そこには当然のことながら、政治的駆け引きが存在します。

 まず安倍首相としては、長期政権の基盤をしっかり確立したいという思惑があります。現在、自民党内で出ている見直し慎重論の中には、少なからず、安倍政権の「次」を見据えた動きもあります。与党内の意見集約を十分に行わないと、憲法解釈の見直しが政局の引き金を引いてしまう可能性もあるわけです。ホンネではすぐにでも閣議決定をしたいところですが、時間をかけて慎重に進めた方がよいと判断しているようです。

 一方、公明党にとっては、今年の秋に予定されている消費税10%引き上げへの対応や、来年の統一地方選挙など重要な政治イベントが控えています。公明党は国政選挙以上に地方選挙を重視していますし、消費税の10%引き上げに際しては、軽減税率を導入するよう強く求めています。公明党としては、重要な選挙を前にして、自民党主導で政権運営が進んでいるイメージになるのは避けたいところでしょう。

 今回の協議の結果次第では、閣議決定のスケジュールがさらに後ろにズレ込む可能性もあるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)