JR九州の広報担当者は、降ってわいたような話に「弊社として言えるものは何も持ち合わせていない。現状では何とも申し上げようがない。国の方に聞いてください」と戸惑いを隠せない。

果たして、新幹線を通しても需要があるのか。大分、宮崎両県はまだ需要調査を行っていない。ただ、人口だけみても、大分117万8000人、宮崎112万人(2013年10月現在)。都道府県別の人口ランキング各33、37位で、下位に甘んじる。また、2012年度のJR九州の駅別乗車人員(1日平均)上位30駅をみると、博多(福岡市)がトップで10万8867人、鹿児島中央は3位で1万9973人。一方、大分は4位の1万6982人で健闘しているが、宮崎は4715人にとどまり、九州の県庁所在地で唯一、トップ30にも入っていない。

そもそも福岡から宮崎までの公共交通は、高速バスの人気が高く、約4時間で5千円程度。大分経由のJR特急は約5時間半かかり、しかも料金は9千円程度で苦戦している。急ぎたい人は40分ほどで着く飛行機が利用でき、料金は2万円程度だ。

新幹線を建設するには、1キロ当たり70億円かかると言われる。現在の在来線(小倉~鹿児島間)で462.6キロに上る距離の新幹線を仮に作ると、単純計算で3兆2382億円。一般会計の年間予算が6000億円程度の両県には、気の遠くなるような数字に違いない。

新幹線に詳しい国交省OBは「すでに着工した長崎の新幹線でも費用対効果が厳しいのに、大分・宮崎に新幹線を通しても採算が取れない。九州には実力のある大物政治家も今はいないし、よほど新たな財源が見つからない限り、実現の可能性はゼロに近いだろう」と厳しい見方だ。

(文責・坂本宗之祐)