形にこだわって、本質が疎かになることを嫌うキャプテンの言葉だからこそ、真実味があった。未来へと受け継がれる日本のスタイルを示す――。これが今の代表チームの総意なのだと。コートジワールとの決戦が間近に迫り、相手対策にも取り組み始めた12日、長谷部誠がW杯での壮大なチャレンジについて語った。

■長谷部「この4年間、自分たちのサッカーを追い求めた」

「前回は、自分たちのサッカーを追い求め、直前で戦術を変えることになりましたけど、この4年間は、世界で勝つための、自分たちに合ったサッカーをずっと追求してきて、未来もこのサッカーで戦っていくんだっていうものを、このW杯で自分たちが作り上げたいという気持ちもありました。例えば、メキシコはそういうものをずっと連続して示していますよね。それを自分たちが未来に示す。そういう意味で、すごく楽しみですね」。

「自分たちに合ったサッカー」とは、「日本人の特性、長所を生かしたサッカー」と言い換えても差し支えないだろう。敏しょう性や献身さを武器に、技術を生かしてショートパスをつなぎ、複数の選手が連動するスタイル――。そうした攻撃的なサッカーを、この4年間、追求してきた。

■中村俊輔が目指した20年先も息づく形

長谷部の言葉で思い出したのは、5年前にグラスゴーで中村俊輔から聞いた言葉だ。「今度のW杯(南アフリカ大会)で、日本サッカーとはこうあるべきというスタイルを作りたいと思っている。ヨーロッパの真似でも、南米の真似でもない、10年先、20年先もずっと息づく日本の形。本大会でベスト4を目指しながら、日本のオリジナルを確立させたい」。岡田武史監督の志向した「日本人の良さを生かすサッカー」の中心にいたのが、当時、セルティックに在籍していた彼だった。

しかし、その中村がW杯直前にコンディションを崩し、チームも4連敗という最悪の状態に陥り、長谷部の言葉どおり、守備的なスタイルへと大きく舵を切ることになった。結果は、ベスト16進出を果たしたが、「10年先、20年先もずっと息づく日本の形」は確立できず、日本代表の理想のスタイルは示せなかった。

■遠藤「南ア大会はあの戦い方しかなかった」

「あのとき勝ち上がるには、あの戦い方しかなかった」と言うのは、南アフリカW杯のときの主力で、今もチームの中心にいる遠藤保仁だ。「でも、いつまで経ってもそれでは進歩がない。今のメンバーならもっと攻撃的に、日本人の良さを生かしたサッカーができる」。攻撃的なスタイルでW杯を勝ち上がり、日本の理想のスタイルを築きあげるのは、4年前からの、もっと言えば、8年前の監督就任会見でイビチャ・オシムが「日本代表の日本化」を掲げてからの悲願でもあるのだ。