ボクシングのWBC世界フライ級王者、八重樫東(31歳、大橋)、同世界ライトフライ級王者、井上尚弥(21歳、大橋)のダブル世界タイトル戦が9月5日、代々木第二体育館で行われることが23日、都内のホテルで発表された。

若き王者、井上の初防衛戦の相手は同級15位のサマートレック・ゴーギャットジム(29歳、タイ)だが、注目はV4戦となる八重樫のカード。挑戦者の同級1位のローマン・ゴンザレス(27歳、ニカラグア)は、ロマゴンの愛称で知られる元世界2階級王者で、39戦無敗33KOのレコードを誇る軽量級の怪物だ。WBA世界ライトフライ級王者時代は、強すぎて対戦相手に敬遠されたほど。ラテンの独特のリズムから重たいハンマーパンチを次から次へと打ち込んでくる。現在、5連続KO勝利中。大橋秀行会長が、「これまで最強と呼ばれた挑戦者は、たくさんいたが、ロマゴンは正真正銘の最強挑戦者。勝てば八重樫の人生が変わる」と、言うほどの最強挑戦者である。八重樫も覚悟を口にした。

「8割の人が八重樫が負けるだろうと思っているだろうが、そういう逆境を覆すのがボクシングと人生の醍醐味。でも映像を見れば見るほど、どこにも穴がなくウツになる。生命の危機を感じる試合。その意味での怖さがある。まだ3人いる子供も小さいのに、お父ちゃんが死んだらどうなるんですか?」。

八重樫のコメントは決して大げさではない。「生命保険の額をアップします」とまで真剣に言った。最強挑戦者に勝つためにどうすればいいのか。打ち合いか。それとも足を使ってのポイントアウトか。八重樫が言う。「足を使っても逃げ切れない。ここまで一流のボクサーがロマゴン相手に通用しなかったんですから。とにかくこちらが下がれば負け。ロマゴンが下がる展開を何が何でもつくらなければならない。あらゆるパターンを想定して準備をしておき、リングに上がったときに、僕がどう対応できるかでしょう」。

名参謀の松本好二トレーナーは「八重樫に度胸があるかどうかがカギだ」という。「ロマゴンは、まるで、なめくじのように柔らかく上体を使いながら、攻守に休みなく攻めてくる。“3D”、3次元のボクシングです。飲み込まれてしまえば勝機はありません、できれば焦らせるような強いパンチを当てたいが、力んで大きな動きになると、読まれて逆にピンチになってしまいますから。正しい攻略法というものはありませんが、ひとつだけ徹底しなければならないのは、こちらも攻め続けなければならないということでしょう」。