[図解]労働者派遣法改正案が結局廃案、どうしてこうなった?

 派遣労働者の受け入れ期間上限を撤廃する労働者派遣法の改正案が2014年6月20日、廃案になってしまいました。派遣の恒久化につながるとして反対の声が大きい中での法案提出でしたが、国会の審議過程で何があったのでしょうか?

 廃案となった表向きの理由は、野党の反発が大きかったことなのですが、実際にはもう少し複雑な事情があります。何と法案の条文に重大なミスが見つかり、野党が取り下げを要求したのです。与党側も事態を重く受け止め、結局、議院運営委員会の理事会は、改正案を廃案とすることを決定しました。

 従来の派遣法では、例外的に認められた26業種以外は、企業が3年を超えて派遣労働者を受け入れることができませんでした。しかし今回の改正案では、人を入れ替えれば企業は3年を超えて受け入れが可能となっていました。

 これまでの制度では、企業側は一旦、3年で派遣をやめてもらう必要がありましたが、改正法では、人さえ3年ごとに交代していれば、派遣労働者の受け入れをずっと続けることが可能となったわけです。企業にとって派遣労働者はいつでも契約を打ち切ることができる都合のよい存在ですから、改正案がもし実現していれば、派遣労働の恒久化につながる可能性が高かったといってよいでしょう。

 今回、国会で問題となった法案のミスは付則の罰則規定で、「懲役1年以下」の部分が「懲役1年以上」と記載されていました。「以下」と「以上」の違いですが、国民に刑罰を与えることができる法案にこうしたミスがあったということは重く受け止める必要があります。また、厚労省が関連する別の法案においても、議員へ事前に配った配布資料にミスが見つかっています。他の法律の説明に使った資料をそのままコピペし、その内容を書き換えていなかったということです。

 田村厚生労働大臣は、この件に関して、村木厚子事務次官ら6人を訓告処分にしました。また、厚労相自身も大臣給与の1カ月分を自主的に返納する決定をしています。

 今回は法案のミスという思わぬハプニングが原因での廃案ですが、もともと派遣法の改正は分かりにくく、十分に国民の理解を得られていたとは思えません。今後、派遣法の改正がどのような扱いになるのか現時点では不明ですが、多くの国民に関係のある法案だけに、もっとオープンな議論を経てからの法案提出が望ましいでしょう。

(The Capital Tribune Japan)