[画像]本塁打ゼロの記録が目前となったロッテ岡田

珍記録だが、それはプロ野球人として誇れる勲章なのかもしれない。ロッテの岡田幸文外野手(29)が、入団以来本塁打ゼロの最長打席記録を更新しようとしている。これまでの記録は、1リーグ時代の1936年から47年まで東京セネタース(のちの東急フライヤーズ)でプレーした横沢七郎氏の1770打席。岡田は、7月7日時点で、入団以来、通算1745打席本塁打がなく、その記録に残り25打席と迫っていて、順調に試合出場を果たせば、明日8日からの9連戦で、地味だが、簡単に達成できない珍記録を更新することになる。

ホームランが打てないのにプロの世界で生き残っている。メジャーで言う「ノーパワープレーヤー」だが、つまり、それはホームラン以外に長所を持っているということの裏返しである。前記録の保持者である横沢氏は、通算打率は.180と低かったが、通算248個の四球(ヒットは通算263本)を拾い.320という高い出塁率でチーム貢献してきた打者だった。

岡田の場合、プロで生き残っている術は、50メートルを5秒6で走る俊足を生かした走塁と、シェアなバッティング、そして2年連続ゴールデングラブ賞を受賞した守備力だ。ホームランゼロという不名誉なようで名誉な記録を岡田自身は、どう捉えているのだろう。

おそる、おそる、その話題を切り出すと、岡田は爽やかに笑って受け答えしてくれた。

「ちょっと変な記録ですよね。プロでも珍しいと自分でも思います。そういう記録があることは知らなかったんですが、今年開幕してから記者の人に『連続本塁打ゼロの記録があるんだよ』と聞かされました。ホームランを打っていないことはわかっていたんですが、まさか記録とはね。これくらい打席に立ち続けてホームランを打っていないことが、凄いことなのか、どうなのかは、ちょっと疑問ですが、ホームランが打てなくとも、なんとかプロ野球でも生きる道というのがあるのかなとは思うんです。ボールを遠くへ飛ばすことが出来ればいいですが、僕は打球が飛びませんから、フライを上げてしまってはノーチャンスなんです。強い打球、ゴロを転がして塁に出て、野球やピッチャーにプレッシャーをかける。塁に出るということが自分に求められているものだと思っています」。

あわやホームランと言う打球はなかったのですか?

「去年、西武ドームでありました。相手投手は確か牧田でした。でも前に守っていた野手が少し下がっただけで(笑)フェン直(フェンス直撃)にもならなかったです。ホームランの感触というものが僕にはわからないわけですが、『これじゃないか』という手ごたえがあった打球だったんですけどね」。

最後に打った本塁打は、社会人の全足利クラブでプレーしていた頃の都市対抗の予選での1本。それも狭い栃木の鹿沼市運動公園野球場のライトポールぎりぎり、最前列に飛び込む最短アーチだったという。小、中学時代から打順で言えば、1、2、9番が定位置。作新学院高校時代も練習試合で1本、記憶に残っているだけだ。小さい頃は、巨人ファンだったが、憧れのプレーヤーは、本塁打を量産する“ゴジラ”松井秀喜ではなく、篠塚和典であり緒方耕一だった。そして「めちゃ好きだった」のが、阪神の赤星憲広だ。そのプレースタイルは、今の岡田がプロで生き抜いているスタイルへどこか似ている。

「小さいときは、みんながホームランに憧れますよね。僕も打ってみようと思っていました。一人で得点したい、ダイヤモンドをゆっくりと、走ってみたら気持ちいいんだろうなという憧れはありました。たまに3番に入ったりすると、長打を狙ったりしてたんですが、そうするとうまくいかないんですよ。自分のスタイルは変えるべきじゃない、貫くんだ。そうすればホームランが打てなくとも、生きる道は必ずあるんだって思っていましたね」。