政府は7月1日、集団的自衛権の行使を容認することを閣議決定した。これを受け、自衛隊が海外で活動しやすくなることで、「徴兵制がやがて復活するのではないか」という声が上がっている。それも平和活動家だけでなく、かつての自民党重鎮たちまでも警鐘を鳴らしているから、ちょっと気になる。果たしてそんなことは本当にあり得るのだろうか?

「集団的自衛権の議論は、やりだすと徴兵制まで行き着きかねない」。こんなインタビュー記事が、しんぶん赤旗日曜版(5月18日)に掲載された。同紙は、共産党の機関紙なので、政府への批判は珍しくない。が、その語り手が、元自民党幹事長の加藤紘一氏だったので、読んだ人を驚かせた。

なぜ、集団的自衛権が徴兵制につながっていくのか?加藤氏は「なぜなら戦闘すると承知して自衛隊に入っている人ばかりではないからです」と説明する。たしかに、これまで自衛隊は本格的な戦闘の当事者になったことはない。命を落としかねない本物の戦争が仕事になるのなら、自衛隊に入ることを尻込みする人が増える、というわけだ。

同じような心配をするのは、野中広務・元自民党幹事長。「集団的自衛権の行使容認で自衛隊という若い人たちが戦闘地に行って死ぬ。若い人が死ぬ。自衛隊志願者がいなくなる、そうなったら徴兵制が出てくる」(朝日新聞5月23日)と懸念する。

徴兵制に言及するのは、自民党元幹部だけでない。国防の実務の現場で長く勤めた元防衛官僚の小池清彦・加茂市長も「近い将来、日本人が血を流す時代が来ます。自衛隊の志願者は激減しますから、徴兵制を敷かざるをえないでしょう」(朝日新聞6月25日)と指摘している。

こうした声に敏感に反応したのか、内閣官房のサイトでは7月に入り、徴兵制への懸念に答えるQ&Aが掲載された。「徴兵制が採用され、若者が戦地へと送られるのではないか?」という質問に、「全くの誤解です。例えば、憲法第18条で『何人も(中略)その意に反する苦役に服させられない』と定められているなど、徴兵制は憲法上認められません」と回答し、強く否定している。