[図解]北朝鮮制裁一部解除、このタイミングで日朝交渉が動き始めたのはなぜ?

 政府は4日、北朝鮮に対して日本が独自に行っている制裁の一部を解除することを閣議決定しました。拉致問題が急展開しそうな状況なのですが、なぜこのタイミングで日朝交渉が動き始めたのでしょうか?

 北朝鮮は今回の日朝政府間協議において、拉致被害者を調査する「特別調査委員会」を設置すると明言しました。しかもこの委員会は、北朝鮮では最高権力機関といわれる国防委員会が特別な権限を持ち、すべての政府機関に対して調査が可能といわれています。日本政府は北朝鮮側の姿勢が「本気」であることから、制裁の一部解除に踏み切ったわけです。

 拉致問題は2002年の小泉首相(当時)の電撃訪問をきっかけに、蓮池薫さんや曽我ひとみさんなどの帰国につながりましたが、その後目立った進展はありませんでした。北朝鮮側は、拉致問題は解決済みだとして、追加調査など、日本側の要求をことごとく退けていたからです。

 このタイミングで急に北朝鮮が譲歩してきた背景には、中国と韓国の接近があるといわれています。中国はこれまで北朝鮮の後ろ盾となり、間接的に北朝鮮を支援してきました。北朝鮮との関係を維持することが、米国との交渉において有利に働くからです。

 しかし北朝鮮は、必ずしも中国側の意向に沿った動きをするわけではなく、中国国内にも北朝鮮を支援するメリットは薄いという意見も出てくるようになってきました。この状況を加速させたのが、習近平政権への移行と米国のアジア戦略です。基本的にオバマ政権は米軍による世界の秩序維持に消極的で、このところその傾向に拍車がかかっています。習政権の発足をきっかけに米国と中国は包括的な交渉に乗り出しており、米国は以前のように北朝鮮問題に対して大きな関心を示さなくなりました。

 こうした状況を受けて、中国と韓国はかつてないほど接近しており、今月には習氏が韓国を訪問。朴槿恵大統領と首脳会談を行いました。中国の最高指導者が北朝鮮より先に韓国を訪問するのは前代未聞のことです。北朝鮮は最大の後ろ盾となっていた中国の支援を失いつつあり、状況打開のため、日本側に大幅に譲歩したと考えられます。

 日本にとっては大きなチャンスでもありますが、中韓というやっかいな外交ラインが形成されるサインとも解釈できます。日本は、基本的に外国への関与を薄める米国と中韓の両方をにらみながら、対北朝鮮外交を進める必要が出てきたといえるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします