[図表] NISA対象 金融商品のリスクとリターン

 投資元本が年間100万円までならば、株や株式投信の値上がり益、配当・分配金にかかる税金が5年間非課税になる制度「少額投資非課税制度(NISA)」が好調です。しかし、口座の開設は高齢者に偏っており、若年層を含めた長期的な資産形成という本来の趣旨からはズレた状態にあります。

 2014年3月末時点におけるNISAの投資総額は1兆円を超えています。総口座数は650万3951口座となっており、制度が始まった今年1月と比較すると37%増えています。

 NISAとは、1999年に英国で導入された制度をもとにした少額投資非課税制度で、投資元本が年間100万円までならば、株や株式投信の値上がり益、配当・分配金にかかる税金が5年間非課税になります。これまで銀行預金中心で株式投資をしたことがない層を株式市場に呼び込み、市場を活性化するとともに、国民の長期的な資産形成を促すことが目的です。

 順調な滑り出しであることから、非課税の対象となる金額を現在の100万円から240万円まで拡大するという案も浮上しています。証券業界からは、制度をさらに普及させるために、現在では満20歳以上となっている対象年齢を引き下げて欲しいという要望も出ているようです(麻生財務大臣は今のところ、対象年齢引き下げは考えていないと発言しています)。

 実際、NISAの口座を開設した人は中高年層にかなり偏っており、3月末までに開設された口座の実に75%が50歳以上となっています。この数字を見る限り、若い人にはまったくといってよいほど普及していないと考えてよいでしょう。

 これはNISAに限った話ではありません。日本証券業協会が行った個人投資家に対するアンケートでも、50歳以上の投資家の割合は75%を超えています。つまり、これまで株式投資を行っていた中高年層が、非課税という制度に魅力を感じ、既存の口座に加えてNISA口座を開設したと考えるのが妥当であり、若年層を含めた新しい投資家はほとんど開拓されていないのです。

 現在の日本は、中高年層と若年層の経済的な格差があまりに大きくなりすぎています。例えば50歳代の平均賃金は月額40万円を超えていますが、20代では20万円と半分以下です。しかも若年層ではそもそも仕事に就けない人も多く、そういった人たちにとっては投資どころではありません。

 こうした状況が重なり、現在の日本の株式市場は短期的な利ざやを狙う外国人投資家の取引が7割を占めるまでになってしまいました。若年層にも十分なお金が回る政策を実現しない限り、本当の意味で日本の株式市場が活性化する可能性は低いでしょう。

(The Capital Tribune Japan)