安倍政権は6月24日「新成長戦略」を閣議決定し、いよいよ法人税改革に乗り出すことになりました。数年で税率を20%台まで引き下げる方向ですが、その分の財源をどうするのかついては、これから議論を本格化させることになります。

 法人税改革の全体像については、政府税制調査会が27日に提言をまとめています。それによると、「単年度の税収中立である必要はない」として減税を先行させることを容認する一方で、「恒久財源を用意することは鉄則」と指摘し、代わりの財源を確保するよう強く求めています。

 日本の法人税は諸外国に比べて高いとされていますが、実は優遇税制がたくさん存在しており、現実の税率はもっと低いといわれています。またこうした優遇措置を受けられる企業とそうでない企業の差が大きく、バラツキが大きい点も指摘されています。

 具体的には、特定産業向けに法人税を優遇する租税特別措置や、中小企業向け優遇制度、公益法人への優遇税制の見直しなどについて検討すべきとしています。また赤字法人への課税も検討されています。

 租税特別措置は、特定の業種や企業に対して法人税を優遇する制度で、この適用を受けた件数は約132万件(2012年度)もあり、特定企業や業界に適用が集中するケースが多くなっています。提言では、期限の定めのあるものについては原則として期限到来時に廃止する、期限の定めがないものについては期限を定める、特定企業への集中を見直すといった方針が示されました。

 中小企業にも数多くの特例税制が適用されています。体力がない中小企業を保護するために必要な税制もありますが、中には、こうした特例措置を受けるために、わざわざ資本金を小さくするなどの行為も見られます。提言では、800万円以下の所得金額に適用される19%への軽減税率や、リーマンショック後の時限措置として設けられた15%の軽減税率の見直しが必要と指摘しています。

 現在、活動している法人の大半が赤字となっており、法人税を支払っていません。外形標準課税の適用拡大によってこれら赤字法人にも課税を強化することが検討されています。また、公益事業として優遇税制を受けながら、実際には民間企業と同じサービスで有利な競争を行っている公益法人への優遇見直しについても議論されています。

 減税には皆、賛成しますが、いざ増税となると、関係者はこぞって猛反対となります。どの部分を増税することになるのかは、まだ分かりませんが、一種のババ抜きゲームのような状況となる可能性があります。結局、一番政治的に弱いところが、増税を受け入れざるを得なくなるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

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