[写真]6月24日、女性の活用の推進に関する経済界との意見交換会であいさつする安倍首相(首相官邸ホームページより転載)

 政府は、女性の活躍を推進するため、新しく法律を制定する方針を固めました。企業や地方自治体に女性の登用を増やすための行動計画を作るよう求める内容なのですが、果たして効果はあるのでしょうか?

 政府は「指導的地位に占める女性の割合を2020年までに30%程度とする」という目標を掲げており、安倍首相は上場企業に対して「まずは役員のうち一人は女性を登用して欲しい」と要請を行っています。

 しかし、上場企業における女性役員(執行役員は含まない)の割合は、今のところ約1%程度となっており、政府目標には遠く及びません。すでに日本には男女雇用機会均等法がありますが、政府は新たに法整備を行うことによって、企業に対するプレッシャーを強めたい意向です。

 安倍政権では、女性の活用を成長戦略と位置付けています。つまり社会政策というよりは、経済政策と捉えていることになります。実際、諸外国を見ても、北欧やドイツ、米国など、経済成長率の高い国は、総じて男女平等になっているという傾向が見られます。日本でも女性を積極的に登用することで、持続的な経済成長を実現しようというわけです。

 ただ、こうした半ば強制的な女性登用策については賛否両論があります。確かに北欧や米国では、男女の区別なく人材を登用する環境が整っています。しかし、男女平等にしたから経済が成長したというよりも、徹底した自由競争を推し進めたことで、性別を問わず能力のある人を登用しないと企業が生き残れなくなり、結果的に男女平等が進んだという解釈も成立します。米国では1960年代から70年代にかけて女性解放運動が盛んでしたが、社会における女性登用が一気に進んだのは、レーガン政権が誕生し、構造改革と苛烈な競争政策が実施された80年代以降のことです。

 日本に比べれば女性の活用は進んでいるものの、欧米ではフランスやイタリアなどカトリック圏の国が、しばしば男女差別が激しいと批判されています。フランスではクォーター制(要職の4分の1を女性にする)などの女性登用政策を進めてきましたが、経済的にはあまりうまくいっているとはいえません。フランスやイタリアは英米やドイツと比較すると、グローバルな自由競争には否定的な国です。欧米の事例を考えると、競争政策との関係を無視して、女性の登用だけを促進する政策には限界がありそうです。

 もっとも、安倍政権の意向を受けて、経団連では各社の自主的な行動計画の発表を開始しています。政府の意向に忠実な企業が多い日本では、政府からの強い要請や法整備によって案外簡単に女性登用が進んでしまう可能性もあります。

(The Capital Tribune Japan)

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