[写真]7月20日、横浜市内で講演し「地方創生」関連法案を秋の臨時国会に提出する考えを示した安倍首相(首相官邸ホームページより転載)

 安倍首相が、地方の人口減少に歯止めをかけ、地方を活性化させるための「地方創生」関連法案を提出する方針を明らかにしました。

 法案の具体的な内容はまだ明らかにされていませんが、安倍氏が、ふるさと納税制度を使って地元の名産品の売上げを伸ばした事例を引き合いに出していることから、地方の特色を生かした製品やサービスの開発などを後押しする内容が盛り込まれると考えられています。

 日本における東京一極集中に対する批判はかなり以前から存在していました。補助金行政のほとんどは、地方と都市部の格差を縮小することを大義名分としていますし、官主導で地方経済を活性化する方策は形を変えて何度も実施されてきました。特に有名なのは1988年に竹下内閣が実施した「ふるさと創生1億円事業」でしょう。

 これは各市町村に対して使い道を指定せず、一律に1億円を支給するというかなり大胆な政策でした。しかし現実に1億円を交付された自治体の多くは、お金をどのように使えば良いのか分からず、ほとんどがムダな施設の建設に消えてしまいました。これ以外にも、中央官庁が主導する地域振興策は、地域の実情に合わないなど、うまく機能しないケースが少なくありません。

 こうした事例の存在は、官主導で地方経済を活性化させようという考え方には、そもそも無理があるという現実を示しています。熊本県のキャラクターである「くまモン」は大成功したケースといえますが、くまモンが話題になると、各自治体がこぞって同じような企画を始めてしまい、どの自治体を見ても似たようなキャラクターばかりという状況になっています。また、ある商店街の活性化策がうまくいったという話になると、無条件に同じものを導入しようと、各地域から視察者が殺到するというのもよくあるパターンです。

 各地域の人が、自分達の手で真剣に検討したやり方でなければ、本当の意味での地域活性化策にはなりません。単純に補助金を付けるといった方法では、以前のようにハコモノが出来て終わりという結果になってしまうでしょう。

 地方は人口減少が著しい状況となっていますが、それでも、志と能力を持った人たちは大勢います。本当の意味での「地方創生」策は、こうした人たちの行動を既存の制度が邪魔しないための基盤整備にあります。

 今はネット時代ですから、お金をかけなくても、面白いアイデアが出てくれば、一気に告知させることも不可能ではありません。また、繰り返し田舎への移住ブームが発生している現状を考えると、地方に住むことに対する潜在的ニーズはそれなりにありそうです。「地方創生」関連法案が、従来のハコモノ行政型とは一線を画した内容であることが強く期待されます。

(The Capital Tribune Japan)