東京証券取引所は7月22日から、一部銘柄の株価の刻み幅を10銭に変更した(写真:アフロ)

 東京証券取引所は7月22日から、一部の銘柄について株価が動く単位を10銭という小さい単位に変更しました。これは何を意味しているのでしょうか?

 株を売買する際、投資家は、あらかじめ取引所のルールで決められた刻み幅に沿って値付けをすることになります。例えば刻み幅が1円で、現在、株価が2000円という銘柄の場合、2000円より高い値段で買いたければ、次は最低2001円を提示することになります。

 しかし、株価水準に関わらずどの銘柄も同じ1円刻みにしてしまうと、いろいろと弊害が起こります。先ほどの2000円の株でしたら、一段階株価が動いてもそれは0.05%にしかなりませんが、株価が100円の場合には、一段階で1%動いてしまいます。売る人が少なく、買う人が予想外に多かった場合、101円、102円とつり上がってしまい、本当は100円前後で購入しようとしたところが、実際には103円にまでなってしまったという事態が起こります。差額の3円は投資家にとって本来負担するはずのなかった金額ですから、コストということになってしまいますし、銘柄の値動きが荒っぽくなり、市場が不安定になる可能性もあります。株価の刻みを小さくすれば、市場は安定的に推移しますし、投資家の余分な負担はなくなるわけです。今回の制度改正では、株価2000円の銘柄の刻み幅は50銭となりますから、割合では0.025%ということになります。

 日本の株式市場は、米国や英国などと異なり、株価が乱高下しやすく、危険な市場とみなされています。東証は外国人投資家が安心して投資できるよう、刻み幅の縮小について検討を重ねてきました。今年の1月に部分的な刻み幅縮小を実施し、特に問題がなかったことから、今回、本格的な刻み幅の縮小に踏み切ったわけです。

 米国では、50ドル前後という標準的な株価に対して1セントの刻み幅(0.02%)ですから、今回の制度改正によって米国並みの小さい刻み幅になったわけです。しかし、刻み幅を小さくすれば、すべて問題は解決するのかというと、そういうわけではありません。仮に刻み幅を小さくしたとしても、健全な多数の市場参加者を獲得できない場合、やはり株価は乱高下してしまいます。根本的な問題は、日本の株式市場に投資家の厚みが少ないことなのです。

 日本の場合、これまでつぎはぎだらけで制度を整備してきたため、株価の水準が銘柄によってバラバラとなっています。米国では、どの銘柄の株価もだいたい数十ドルになるように株数が調整されており、価格の刻みも統一されています。このため、投資家はどの銘柄を買っても値動きの感覚は同じようなものとなり、多くの投資家が安心して取引に参加することができます。こうした地道な努力や工夫も、米国市場が世界から信頼を勝ち得ている理由のひとつです。日本市場の信頼を高めるためには、投資家にとって分かりやすい制度や仕組みを、引き続き、構築していく必要があるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

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