[グラフ]一般家庭の電気料金の推移(東京電力のケース)

北海道電力が先月、電力料金の値上げを申請しました。「電気料金が値上がりする」と聞くと、階段状に料金が上がっていく様子を思い浮かべるかもしれません。しかし、原発が止まった東日本大震災以降、電気料金は階段状ではなく、直線状に上がり続けています。電気料金の上昇と原発再稼働はどう関係しているのでしょうか?

震災後、東京電力を例にとってみると一般家庭向けの電気料金は、この3年間で4割近くも値上がりしています。年間では約3万円の負担になっていて、じわじわと目に見えて分かるくらい負担が増えてきました。

電気料金がじわじわ上がる原因は?

電気料金は毎月変動しています。電気を作る燃料となる石油や天然ガスの価格が上がったり下がったりすると、これに連動して電気料金も上がったり下がったりします。上がるだけではなく、燃料の価格が下がれば、電気料金も下がるというシステムで、これを「燃料費調整制度」と言います(電気料金の明細をよく見るとその額が書かれています)。

電力会社は、そもそも電気料金の値上げを申請する際、今後3年間に石油や天然ガス、石炭で電気を作るのにこれくらいの費用がかかるだろうという見通しをもとに計画を立て、電気料金を決めます。見通しは見通しなので「燃料費が高くなったり、安くなったりしたらその分調整しますよ」というのが「燃料費調整制度」です。ただし、原子力や水力など、火力以外の電力にこの制度は適用されません。

その燃料ですが、ここのところ中東情勢や円安、日本の燃料購入量が増えていることを背景に、石油や天然ガスの国際価格が高騰を続けています。そして、この「燃料費調整制度」があるため、電力会社の見通しより燃料費が高くなったら、消費者がこれを負担するわけですから、年々電気料金が上がり続けているわけです。

電気会社が料金を値上げする理由

一方、私たち消費者が燃料費の増加分をその都度負担しているのなら、電力会社はわざわざ値上げをする必要がないはずです。それなのに、なぜ値上げをする必要があるのでしょうか? 

東日本大震災以降、原発が発電をストップしました。そこで、電力会社は、原発で作るはずだった電気を石油や天然ガスで作らなければならなくなりました。原子力発電を火力発電に変えたことで増加した燃料費は年間3.6兆円、1日約100億円増加したと試算されています。これは電力会社にとって大きな負担です。

しかも、原子力発電所の代わりに動かしている火力発電所の燃料費増加分は、いまの電気料金の根拠になっている計画に含まれていないので「燃料費調整制度」が適用されません。これが電力会社の経営を直撃しています。東北電力、東京電力、北陸電力をのぞく電力6社は3期連続の赤字です。

実のところ、電力会社は原発の再稼働を見越して現在の電気料金を設定しています。北海道電力による今回の値上げ申請でも、3年以内に泊(とまり)原発3基の稼働を見越した料金設定にしています。つまり「3年以内に原発が動くのだったら、この料金で電気を提供できますが、そうでないならこの料金では提供できません」と言っています。

ほかの電力会社も事情は似たようなもので、たとえば、関西電力も2013年5月に料金を値上げした際、大飯原発など計4基の再稼働を見越した料金設定にしていますし、同じ月に値上げした九州電力も川内(せんだい)原発など計4基の再稼働を見越した料金設定にしています。

原発の再稼働の見通しが立たなければ立たなくなるほど、電力会社は値上げをせざるを得なくなる。北海道電力が電力料金の値上げを申請したのもこういう事情があるのです。