[図解]「経営承継円滑化法」改正の方向性

 中小・零細企業が後継者を見つけやすくするための法改正が政府内部で検討されています。地方では後継者難から中小企業が廃業に追い込まれ、多くの雇用が失われているといわれています。法改正によってこうした状況に歯止めをかけることができるのでしょうか。

 現在、中小企業の経営承継をスムーズにするための法律として「経営承継円滑化法」というものがあります。これは事業を引き継ぐ人が親族であれば、各種の税制優遇措置を講じるというものです。これによって、例えば、父親から子供への会社の引き継ぎが促進されることになります。

 しかし現実には、親族に会社の引き取り手がいないというケースが増えてきています。中小・零細企業の経営者は年々高齢化が進んでおり、2012年には70歳以上の年齢層がもっとも高い割合を占める状況となりました。こうした企業が今後も存続していくためには、経営者が元気なうちに、後継者に事業を引き継いでおく必要があります。しかし、実際に事業承継を試みたことがある人のうち、約2割が適切な後継者が見つからず承継がうまく進まなかったという結果が出ており、後継者の選定はそう簡単ではないことをうかがわせます。

 こうした状況を打開するため、親族以外の第三者であっても、ある程度、税の優遇が受けられるようにし、幅広く後継者を募ることができるようにしようというのが、今回の法改正の狙いです。

 現在は親族に限定されている税の優遇について、一定条件を満たせば従業員など、第三者にも適用できるようにするほか、創業者の存命中に、2代目が3代目に引き継ぐケースも適用対象とする方針です。

 ただ、現実はそう甘くないという指摘もあります。事業承継がうまくいかない理由のトップは「将来、業績低迷が予想されるから」というものであり、後継者ではなく、事業そのものの問題が大きいと考えられます。逆に言えば、将来性のある事業であれば、税の優遇が受けられなくても、その事業を買収したいという人が現れる可能性は高く、こうした法改正は不要という考え方もできます。

 今回の法改正は、ある程度、将来性はあるものの、様々な条件が重なり、親族の中では後継者を見つけることができなかったというケースで大きな効果を発揮するものです。これによって中小・零細企業の存続問題が大きく前進するわけではありませんが、それなりの意義はあると考えられます。

(The Capital Tribune Japan)

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